スペシャルラブ 5

第32話

――――……


その夜、自分の部屋に入る前に沙良の部屋の前に立ち止まる。


もう1時も過ぎていた。

この時間は彼女が眠っている事を俺は知っていた。


沙良は無防備にもドアの鍵をしない。


それが余計に俺をこの場所に留まらせる厄介な事なんだけど。


ゆっくりドアを開ける。


室内は暗くて廊下の灯りがベッドで眠る彼女を緩く照らした。



「ホントに起きないんだから……。」


俺は沙良の髪に触れ、そして頬を指の背でなぞった。



俺が毎晩こうやって彼女に“あいさつ”をしているなんて本人は知らない―――。

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