姉
秋名
短編小説
これはある家庭の話。
「なんで妹ができるのにお前はできない。」
親の口癖だ。
そんなこと知らない。
私だってできる限りやってきた。
でも、妹は頭が良くて運動は人並みおまけに明るい性格だ。
私は真逆。
何もできない。
私の唯一の特技。
絵を描くこと。
そんなことも最近になって妹の方ができるようになってきた。
『姉なんだから。』妹が欲しい物は譲る。
『姉なんだから。』妹がしたことは責任を取る。
『姉なんだから。』妹ができることはできて当たり前。
『姉なんだから。』
『姉なんだから。』
なんて不公平な世の中だ。
軽い差別。
こんなのおかしい。
親に言ってもこう帰って来るだろう。
「しょうがない。」
解決策はない。
なんで私だけ。なんで、
あ、そうか。妹がいるから
いつもの親の口癖はもう言えない。
「だから、なんで妹ができるのにお前はできない」
私は悪くない。
この不公平な世の中が悪い。
親の無責任な言葉が悪い。
涙を流しながら彼女は言った。
「妹?そんなのいないよ。」
彼女の服には尋常じゃない程の赤いなにかがついていたという。
姉 秋名 @akibayoru
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