黎明(れいめい)
天皇が殺された? 秘密結社「八咫烏」? 1億を調査資金にする・・?
何を言ってるんだこの美女は。休日SF映画を見すぎて頭がおかしくなったのか。
「ほら、全部話したぞ。いっとくけどこれは国家機密だからな。」
俺は協力を飲む前に、凛の素性と目的を全て教えてもらった。
「協力しないって言ったら・・・?」
「殺す。」
なんだこの女怖すぎる。脅しじゃん。
「凛ちゃん、やっぱりそいつを協力者にするのは無謀な気するよ。頼りなさそうだし。」
「これでも一応大手銀行のエリートだぞ!」
見えないが後ろから聞こえる男の声に必死に反応する。
「協力と言っても一億円をこっちの企業が指定している口座に送るだけだぞ、ただの仕事だ。その一億円を何者かによって盗まれたってシナリオ。お前は何の責任にも問われない。」
「そういう問題じゃなくてさ、犯罪に加担するのが嫌なんよ。」
「確かに犯罪ではあるが結局は全て亡くなった天皇陛下に報いるための善行だ。日本一の名誉国民になれる。」
言ってることがめちゃくちゃだ。
「ちなみに凛ちゃんはサイバーセキュリティーのスペシャリストなんだぜ、足跡を残さず盗む、必ず。」
「はいはい、でも企業側と契約してしまったから結局一億送らないとなんだよな。」
その時、男の老人の声が外で響く。
「烏たちよ、今回の件は当然口外禁止、破れば殺処分だ。」
「くそ、そろっと撤収しないとやばくね、鷹村のこと知られたら終わりだし俺ら。」
「もう夜明けちまうよ、仕事なんだよ今日も。ふあぁ~」
こんな状況でもあくびはでるんだな。
「これ、私の連絡先だ。今回の任務に協力してもらった場合それなりの対価は約束しよう。」
「変なことは考えんなよ?」
「当たり前だろ、そんな余裕ないわ。」
秘密結社の一員とラインを交換するという奇妙すぎるシチュエーションに俺はさらに困惑した。
「俺が家まで責任もって送ってやる、ついてこい。」
やっと姿を現した朔と名乗る男に俺は家まで秘密裏に車で送ってもらった。もう陽が昇ろうとしている。
銀座から少し外れたところに位置する自宅のアパートに着いた。半年ぶりに帰ってきたように感じる。
「決行日はこちらで決めさせてもらう、そっちからは緊急時以外凛に連絡するな。いいな?」
「わーったよ・・」
異常なほどの疲労と睡魔の中、ふり絞った言葉でそう返答した。
「鷹村、凛のためにも頼んだぞ。」
朔のその言葉だけどこか悲し気に聞こえた。そっからは記憶が無い。気を失うように寝てしまったのだろう。
ー同時刻、皇居地下室ー
「陛下は呪術によって殺された。法で罰すことは不可能だ。」
「幹部がそろっていながら誰一人奴の動きを封じることは出来なかった。相当な手練れと見た。」
遺体は未だに処理されず、地下室の床を真っ赤に染めていた。
「陛下無き今、我ら
「我らはあくまで裏の存在、新たな天皇を立てなければならないだろ!」
「陛下のご子息にその大役は厳しいとは思わんのか!?まだ15だぞ?」
殺伐とした雰囲気が血まみれの部屋に漂う。
「今我らは八咫烏存続の危機に立たされている。いや、国家の危機と言ってもいい。今こそ手を取り合うべきではないのか?」
陽が昇る。この
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