協力者
「くそっ!!」
天皇陛下が殺された悲しみ、犯人と思われる者を逃した自分への憤り、様々な感情が交錯している。
「あいつの速さ、間違いなく呪術による身体強化を使用している。服装も俺達と同じ、普通に考えて組織内部の人間が犯人だ。」
「いっそう組織内部を探る必要が出てきた。」
私と朔は再び書斎に移動し、お互い落ち着きあうため話し合っていた。
「いっそうって、凛ちゃん元々探る気だったの?」
「あぁ、上層部が明らかに何か隠しているとしか思えない。今回、天皇陛下が殺されたことも何か因果があると感じる。」
私は小型のボイスレコーダーを取り出し、音声を再生する。
「貴行に1億円融資していただきたいんです!大きなプロジェクトを始動する予定なんですよ・・」
「い、1億円ですか!?」
「さすがに厳しいですかね・・?」
「これって凛ちゃんが働いてる会社の?」
「あぁ。ほんとは
「別の・・?」
私は続けて音声を再生する。
「いえ、こんな大きな取引初めてで・・・大丈夫です!むしろ感謝したいですよ!」
「ぜひ、お願い致します!」
「ありがとうございます!」
ここで音声は終わりだ。
「若い男の銀行員は1億の融資を承諾した。この1億を私が八咫烏を探るための資金にする。」
「なっ・・!?凛ちゃんそれ犯罪だよ。」
「今更何を言う。私たちの手はとっくに汚れているだろ?」
少し険悪な空気が流れる。
「とにかく巡ってきたチャンスだ。ただ立場上目立つ行動は避けたい。だから、、」
「だから?」
「協力者を作る。」
「なっ、マジで言ってる凛ちゃん?」
朔の反応も当然だ。何度も言うが私達の存在は原則として一般人に知られてはならない。そう、原則として。「天皇陛下の護衛」それが我々の命題であり、そのためなら一般人と協力するケースもある。しかし・・
「一般人との協力はあくまで任務遂行のためだろ?これは、、」
「あぁ、私のエゴだ。」
「ばれたらクビどころじゃねぇな、俺ら」
「ありがとう、朔。」
私は朔と共に別室で拘束した男の様子を設置したスマホから見つつ今後八咫烏を探る流れを話し合った。
「うっ・・・・」
「お、起きたか。ごめんなさっきは」
姿を見られていない朔は別室からスマホを通して男に語り掛けていた。
「凛ちゃん、殺す?」
「あぁ、私の姿を見られた以上殺すしかない。」
民間人に我々の素性が少しでもばれてしまった場合、その民間人を口封じのため殺害しなければならない。
「hふhfしうfひうfすhすh!!!!!!」
「!?お前、今日の・・・」
様々な出来事が重なり動揺していたのか全く気付いていなかった。今日の午前中会社に訪ねていた銀行員の男だ。1億の融資を取り付けた張本人。
「お前、さっき営業で来ていた・・・確か鷹村真と言ったか?」
「そうだけど・・何で俺の名前を。」
「1億円の融資、通ったろ?私はその会社に勤めている。」
このチャンスを逃すわけにはいかない。
「一体、何なんだよお前は・・・」
「予定変更だ、鷹村協力してくれ。」
彼を意地でも協力者にする。私のエゴのために。
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