第17話 謁見
いよいよニキアの父親、ウィルター・フェルマレス王に会う事になった。
この国の人々は黒髪なので、私の見た目は違和感がなく少しほっとしている。
この国の正装の黒いドレスに着替え身だしなみを整えた。
「モモさん、僕がついているからね。絶対に守るから。」
ニキアの優しい言葉に元気づけられた。
「ニキア、リリシアちゃんの為にも頑張ろうね。」
そう言うとニキアはさらに気合が入ったようだ。
ニキアは本当にリリシアちゃんの事が好きなんだな。
微笑ましいし、羨ましい。
王の待つ部屋の扉の前に立った。重厚感のある立派な扉だ。
扉が開き中に入っていくと前方の高級そうな椅子に40歳くらいの
男性が座っている。ニキアに似た感じのイケオジ。
「父上、本日は聞いていただきたい事があり参りました。
こちらは命の恩人のモモ様です。」
「初めてお目にかかります。モモと申します。」
ニキアと一緒にウィルター王に挨拶をした。
「申してみよ。」と王が無表情で答えた。
「実はこちらのモモ様は傷を負い烏の姿から戻れなくなった私を
元に戻してくれた聖女様です。」
聖女様と言われ顔が熱くなっていると、おもむろに王が鳥籠を前においた。
「では、この者を元に戻して証明してみよ。」
鳥籠の中にはぐったりした烏がいる。
「これはリリシアを襲った者ですね。」とニキアが怒りを抑えながら言った。
「ニキア、、、様、大丈夫かな?」
「モモさん、自分を信じて。きっと出来るよ。みんな信じてる。」
そうだ、ミロもリリシアもみんなも不安だけれど信じてくれている。
「やってみるね。あの時の気持ちを思い出して。」
私は前に進み鳥籠に近づいた。右手をかざし心の中で
『どうか、この鳥さんを助けてください』と願った。
体内が熱くなり自分の中から何かを発している気になった。
手のひら全体から黄色い光の玉を放つと、黒い鳥が人間の姿のなった。
「これは、なんと!!!」ウィルター王が驚きを隠せない。
「父上、これでお判りでしょう。彼女は聖女様なのです。」
「確かに聖女様だ。わが息子と家臣を助けてもらい感謝する。」
「が、しかし、ニキアよ。お前はどういうつもりなのだ。
第一王子であるのに隣国の者を助けようと命をかけおって。」
「申し訳ありません。リリシアは私にとって命以上に大切なのです。」
ウィルター王は呆れた顔でガックリしていた。
「モモ殿、あなたには感謝しかない。」
「ありがとうございます。あの、、、」
「申してみよ。」
「また、このような事があれば私の力で治します。リリシアの
件は少し様子をみてもらえないでしょうか?偉そうにすいません。」
「そうだな。モモ殿には色々と聞きたい事もある。」
「ありがとうございます。」
ウィルター王が怖い人でなくて良かった。
それにニキアの事を大事に思ってくれているようだし、
冷酷王ではない事にほっとした。イケオジだし。
ニキアと私は部屋の外に出た。
「モモさん、お疲れ様。すごくカッコ良かったよ。」
「ニキア、緊張した。手が震えてる。」
「ごめんね。僕のせいで、、、今日はモモさんをおもてなしする
宴を開催するらしいよ。ゆっくりしていって。」
「でも、ミロ達が心配していないかなぁ?」
「だったら遣いの者をだし伝えてもらうよ。」
「じゃあ、メモを書くから渡してほしい。」
おもてなしの気持ちは嬉しいけど気が重い。
ミロ、心配してるかな。早く会って話がしたい。
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