第16話 出発

今朝は早めに目が覚めた。

眠れなかったと言ってもいいかもしれない。

ルトネルド王国へ行く使命に緊張しているのもあるが、

昨日のミロとのキスにのぼせているのだと思う。

気分を切り替えないといけない。


ドアを開けるとミロが立っていた。

「あ、おはよう。ミロ。どうしたの?」

「いや、そろそろ起きたかなと思って気になって。」

ミロも寝不足なのかな?同じ気持ちなのかもと

思い嬉しくなった。共犯者みたいで面白い。

クスッと笑うとミロが気まずそうだった。

少し照れているような顔が可愛い。


二人そろって外に出た。少し肌寒いが彼の隣で顔は熱い。

「モモ、やっぱりルトネルド王国へ行くのはやめた方がいいのでは

ないだろうか?」

「ミロ、心配してくれてるんだよね。私は大丈夫だから。」

根拠のない自信はどこからきているのかは分からないが、彼を

助けたいし喜ぶ顔を見たい。

「安心して。すぐ戻ってくるからね。」

「うん、待ってる。遅くなったら、すぐに迎えに行く。」

「ありがとう。嬉しい。」


「ミカリス様、モモちゃん、朝食だよ。」レイクが呼びに来た。

心配そうなレイクに笑顔で「はーい!」と答えた。


ダイニングにはニキアとリリシアがいた。

みんなソワソワしている感じが伝わってくる。


「ところでニキア。ルトネルド王国にはどうやって行くの?」

「それは、僕の瞬間移動能力で行けるよ。」

「すごーい、テレポーテーション。どこでも行けるの?」

「いいや、自分の国に戻れるだけさ。」とにっこりした。

「それでもスゴイ。便利。」


どうやら、この瞬間移動はミロもできるらしい。

特に魔力の強い人はあらゆる所にテレポートできるらしいが、

ミロやニキアは自分の住まいに戻ることはできるようだ。

ゲームでいうと最初に戻るって感じ?でも役立つ。


いよいよ出発することになった。

外に出て、みんながお見送りしてくれている。

「モモちゃん、大丈夫だよね?」とレイクが心配そうだ。

レイクって本当に可愛い。こんな弟がほしい。


ニキアがリリシアの両手を握り別れを惜しいんいる。

二人の笑顔はとても癒される。幸せになってほしい。


「モモ、気を付けて。信じているよ。」

「ミロ、ありがとう。すぐ戻るね。」

彼に抱きつきたいけれど、みんながいるので我慢した。


「さあ、行こう!」ニキアが私に声をかけた。


エレベータに乗っているようなフワっとした感覚になり、

一瞬で別の場所に着いた。


「ここがニキアの国なの?」

「そうだよ。ようこそルトネルド王国へ。」


目の前にお城がある。さすが第一王子。

中世ヨーロッパのお城って雰囲気で屋根が金色。

王様に会う事に緊張してきて、ニキアへの返事に詰まってしまった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る