第18話 宴で
大広間で数十人の人々が会談をしながら食事や飲み物を楽しんでいる。
私の歓迎会という名目でパーティーをしているのだろう。
時折、話しかけられることもあるがそれほど私に興味はなさそうだ。
どちらかというと、ニキアの方が人気者だ。
特に若い女性が話しかけてくる。
「ニキア、人気者だね。」
「そうかな?モモさんの事を見ている男が多いよ。」
「え?そうなの?」
全く気付かなかった。
「兄上、こちらの方が聖女様ですね。兄上を助けていただき
ありがとうございました。」
「こちらの方は?」
「第二王子のジェイドだよ。」
ニキアに似てスッキリした顔立ちのイケメンだけど、冷たい感じがする。
「初めまして。モモです。」
「パーティー、楽しんでくださいね。」
ジェイドは笑顔でさっと去って行った。
「ねぇ、ニキア。ジェイドとは仲いいの?」
「いいや。死ななくて残念って思ってるさ。」
「そんな。悲しいこと言わないでよ。」
「モモさんは気にしなくていいよ。王位争いしか考えてない奴だからさ。」
王族って色々大変なんだな。
「兄上~!!」
5歳くらいの男の子がニキアに近づいてきた。
「モモさん、こちらは第四王子のリヨンだよ。」
「まぁ、モモと申します。よろしくね。」
目がクリクリで可愛い。ニキアとは似てないけど。
「リヨンとは母親が違うけど、僕が一番可愛がっている弟だよ。」
「そうなのね。ニキアの事、好きそうよね。
ニキアに可愛い弟がいて良かった。」
ニキアとリヨンとしばらく話していると王様が近づいてきた。
「モモ殿。この度は息子が世話になり本当に感謝する。
ところで、モモ殿は異世界の人間ということだろうか?」
「えっと、、、」私が困っているとニキアが説明してくれた。
「以前、わが国にもモモ殿のような治癒魔法を使える者がいたので
関係あるのかと思ったのだが、、、」
「そうなんですね。私もこの世界にきて初めて使えるようになった力
なので、よく分からないんです。」
「そうか。モモ殿に会えて嬉しいよ。今日はゆっくりしていってくれ。」
「ありがとうございます。」
王様と話すのは緊張する。威厳というか威圧感が半端ない。
「ニキア。私、いつミロ達の所へ帰れるの?」
「そうだよね。ちゃんと明日には送るよ。ゴメンね。」
今日はほんとに疲れた。この堅苦しいドレスもしんどい。
貴族って大変なんだな。現代人で良かったとしみじみ思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます