第14話 治癒魔法

一人の少女が綺麗な羽のカラスを抱いて泣いている。

カラスは傷を負いぐったりとしている。


「リリシア、その鳥は?」とミロが問う。

「お兄様。この方はルトネルド王国の第一王子、

ニキア様です。私を庇ってケガをされて、、、」


「リリシア、力を発動してしまったんだね。」

とミロがリリシアに近づき肩を抱いた。


「ミロ、どういう事なの?」

「リリシアは相手の魔力を消し、人間に戻れなくさせてしまう力を

持っているんだ。」と私に教えてくれた。


ミロの説明だと、人間に戻れなくなってしまってからは、

じきに記憶まで失っていき完全に動物になってしまうそうだ。


私は傷ついたカラスに近づいた。

「可哀そうな鳥さん。せめて傷だけでも治してあげたい。」

とカラスに右手をかざした。

一瞬、手から細かい黄色い玉のような光が流れでたような気がした。

すると傷ついたカラスが人間の姿になった。


「ニキア様!」リリシアが泣きながらニキアにしがみついた。

「リリシア、泣かないで。僕は平気だよ。」


ミロもレイクも他のみんなも驚きのあまり声がでない。


「モモ、君は一体何をしたんだ?」とミロが聞いた。

「分からない。ただ鳥さんを助けたいと思っただけ。」


「スゴイよ。モモには何度も助けられている。なんて感謝していいか。」

とミロに抱きしめられた。

ミロが喜んでいる。役に立てて嬉しい。


「あの~、お取込み中すいませんが、どういう事なのでしょうか?」

とレイクが尋ねてきた。

我に返りミロと私が赤くなりながら離れた。


「モモはこの地の魔力と性質が融合し、治癒魔法を使えるの

かもしれない。あくまでも推測だけれど。」とミロが言う。


ニキアは多少の傷はあるけれど、人間に戻っている。

「そちらの聖女様。本当にありがとうございます。」

とニキアがお礼を言った。


リリシアもまた、

「本当に本当にありがとうございます。聖女様。」

と涙ながら私の手を取った。


「聖女って、、、ただの高校生です。でも良かった。」


リリシアがニキアに寄り添い、チラチラと目を合わせている。


「これは、どういう事かな?」とミロが聞いた。


「お兄さん。僕はリリシアさんと結婚したいと思っています。」


「はぁ??お兄さん、、、?」とミロが見た事ないような怒った顔をした。


「ニキア様~」と赤い顔のリリシアがニキアの腕を引っ張った。


「お兄様。結婚とかはまだ分かりませんが、ニキア様は私を

大事にしてくれています。側にいたいです。」とリリシアが言った。


「リリシアー!」と満面の笑みを浮かべ、ニキアがリリシアを抱きしめた。


「妹を守ってくれた事は感謝する。しかし、妹を連れ去った事といい、

この件はゆっくりと話を聞こう。」と言うミロ。

無表情すぎて恐ろしい。かなり怒っている。


リリシアとニキアは立場は抜きにして、とてもお似合いだと思う。

銀髪の美少女と黒髪のイケメン王子。

私の好きなパターンの恋愛漫画の主人公達だ。キュンしかしない。

ごめんね、ミロ。私、こんな状況を楽しみすぎだねと反省した。



















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