第13話 異世界の朝

異世界にきて初めての朝をむかえた。

モモは不安もあったが、ミロに会えた事がなにより嬉しい。


部屋にある洗面台で顔を洗い、歯を磨き身なりを整えた。

ミロに少しでも可愛く見られたい。


部屋のドアを開けると一人の少年と出会った。

「おはよう。モモちゃん。」

「あなたは?」


「僕はレイク。モモちゃんのカバンを持ってあげたよ。」

「あー、あの可愛い猫ちゃん。あの時はありがとう。」


彼はモモより少し背が高いくらいの小柄な少年だ。

目が大きくてとても可愛い。


「レイク君は何歳?」

「僕は16歳だよ。」

「私は17歳。同じくらいの歳だね。」

と話しながら食卓らしき所に案内してくれた。


「モモ、おはよう。ゆっくり休めた?」

とミロに聞かれた。

「うん。ぐっすり眠れたよ。ありがとう。」


10人くらいの男性達がテーブルにつき食事をしている。

モモも一緒に朝食を食べた。


食べ終えた頃、ミロがみんなに妹の捜索について指示をした。

二つのグループに分かれて探すらしい。

ミロのチームとセイのチームだ。


私はミロにお願いして同行させてもらうことになった。

移動する時は身軽な猫になるということだ。


「モモも猫の姿に変身してもらうよ。」

とミロがモモに手をかざした。


体がみるみる小さくなっていくのが分かる。

すると「お~~~っ!」

というみんなからの感嘆の声があがった。


「モモちゃん。可愛い。」

猫の姿のレイクが近づいてきて体をスリスリ寄せてきた。

「こらっ。」とミロがレイクに猫パンチした。


私、どんな姿なのかな?

窓ガラスに姿を映した。

「わぁ、三毛猫!!!ミロ達とは違う。和風。」


「その人の雰囲気が出るからね。モモらしくて愛らしいよ。」

とミロがモフモフの猫の姿で語ってきた。


妹の捜索開始だ。

ミロについていき草原を駆け抜けている。

体が軽くて走るのも早い。なんか楽しい。


「ミロ、この辺りに妹さんがいるの?」

「ああ、リリシアの波動は感じるんだ。」

「そうなんだ。」


「僕もリリちゃんは近くにいると思うんだ。」

と一緒の部隊のレイクが言った。


森の中に入っていき走っていると、前方に目がくらむくらいの

眩しい青い光が見えた。


「リリシアの光だ。」とミロが言った。

「ミカリス様。急がないと。」とレイクが言った。


ミカリス、レイク、他の2匹と私は全力で走った。


「リリシアー。」ミロが叫んだ。


「お兄様。」

黒い鳥を抱きかかえ泣いている少女がそこにいた。

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