第10話 異世界
ミロと別れてから1週間がたった。
毎日、異世界へのゲートがある公園に行っている。
ふらっとミロが現れるのではないかと期待しているのだ。
「ミロ、どうしているんだろう。連絡方法を聞いておけば良かった。」
「元気なのだろうか?ケガなどしていないだろうか?」
毎日、同じようなことばかり考えている。
ミロに貰ったバッジを見るたび泣きそうになる。
今日も学校帰りに公園に来た。
ミロが消えていった辺りを見ると青い光が渦巻いている。
「何だろう?」
近づいて覗き込んでみた。
すると渦巻いた光が大きくなり体が飲み込まれてしまった。
高速で吸い込まれていくような感覚で、どうする事もできない。
「もしかしたら異世界に行けるの?その前に死んでしまったらどうしよう?」
何が何だかわからないまま数秒が過ぎ、急に背中を押された感じになり
ドサっという音とともに転げ落ちた。
「あイタタ、、、ここは?」
まわりは暗闇で何も見えない。
手の感触からして地面は草むらだろう。
「あっ!!!」
目の前にたくさんの小さな丸い光がある。緑や金やブルーなど。
一体、何?
蛍みたいな、、、イルミネーション???
どんどんこちらに近づいてくる。
月明りでかすかに見えてきたのは、小さな動物のようだ。
「あ、猫だ!」
10匹ほどの猫が近づいてくる。
数匹いると、ちょっと恐ろしい。
「この黒髪は敵国の者だな。捕らえろ。」
「ちょっと待て。これはミカリス様の物では?」
胸に付けていたバッジに猫が反応した。
そう、これはミロに貰った物。
ミカリスはミロの事だ。
ミロの仲間なんだ。
そうこうしている間に猫達に囲まれ睨まれている。
恐怖感はあるけれど、モフモフで可愛い。
毛が長かったり、短かったり。
共通点といえば、色が薄いグレーなのか銀色っぽいことかな。
囲まれ威圧感はあるが、ミロに会えるはずと思うと嬉しくなる。
「ついてこい。」
リーダー格っぽい猫ちゃんに命令された。
「はい。」
と素直に返事し、少し浮かれている。
「すいません。暗くてよく見えないので、ついていきにくいです。」
と言うと、仕方ないなという感じでリーダー格の猫が人間になった。
そして、抱きかかえられた。
お姫様抱っこされている。
このまま、どこへ連れていかれるか少し不安だが、
抱きかかえてくれるなんて優しい。
そして暖かい。
そうだ、私はリュックを持っていた。
「あのー、私のカバン知りませんか?」
「これか?」
一匹の猫ちゃんが背中に背負っている。
「それです。ありがとうございます。」
リュックを背負った姿が可愛いと思いクスッと笑ってしまった。
私が笑っていたので、抱きかかえてくれている男性が不思議そうな顔をしている。
この人、キリッとした顔立ちで結構カッコイイ。
ミロは中世的な美少年だが、この人は男らしい感じだ。
ちょっとドキドキする。
ミロに見られたら恥ずかしいな。
早くミロに会いたい。
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