第4話 捜索の始まり
「おはよう!ミロ。さぁ、出発するよ。」
「張り切ってるな、モモ。」といつもの無表情なミロに微笑む私。
だって大好きなミロと一緒に2人だけの秘密の旅のようでワクワクしているのだ。
ミロを担げるキャリーリュックを持参して、斉藤さんが住んでいた家に向かうことにした。
ミロの体重は4.5キロほどある。
ずっと担ぐのは大変だし、今は横で歩いてもらう事にした。
身長150センチほどで運動が苦手な私は体力に自信がない。
けれど、根性はあるつもりだ。
早くミロの喜ぶ顔が見たい。頑張るぞ。
斉藤さんが住んでいた家の前に着いた。
表札は山代。
ミロの顔を見て、ヨシッと自分を鼓舞しドアホンを鳴らすと、若い女性の声がした。
「突然、すいません。以前住んでいた斉藤さんを探しているのですが、、、」
ドア越しに20代後半くらいの女性が、赤ちゃんを抱きながら顔を出した。
「以前、住んでいた方ね。私は2ヶ月前にここに越してきたのよ。」
と初対面の猫を連れた女子高生に優しく答えてくれた。
リュックに入れたミロを「可愛い猫ちゃんね。」とニコニコしている顔は
人が良さそうで、道など聞きやすそうな感じの人だなと思った。
彼女は斉藤さんの事は知らないけれど、近くの大家さんなら知っているかもと
大家さんの自宅を教えてくれた。
「ミロ、次は大家さんの所に突撃するよ。」
「モモは楽しそうだな。」
「あ、ゴメンね。ミロはモフモフの妹が心配なのにね。でも、ミロにとって大事な妹は私にとっても大切。絶対に見つけるから。」
「ありがとう」とミロは小さな声で礼を言い下を向いた。
まっすぐ歩き1つ目の信号を渡り、5軒ほど先を右に曲がり2軒目が大家さんの所だ。加賀谷さん。ここだ。日本家屋の立派な家。
「ミロ、ドキドキするね。」心なしかミロも緊張しているように見える。
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