第6話 ミスティカ学園入試登録

さて、ミスティカ学園の入試を受けるわけだが、注意点がある。


それは、俺の能力『魔物交尾』をひけらかさないことだ。


だって、魔物と交尾して確定でS級魔物を生成できるなんて知れたら、ミスティカ王国が黙っちゃいない。


王国の敵である魔物を生成しては、俺まで敵扱いを受けるからな。


まあ、何よりも、これがバレたら俺の愛する家族がただじゃ済まないだろう。


だから、俺のスキルは『スライム人間』と偽装する。


スライム状の液体を身体にまとって能力を向上するというスキルの設定にしておくのだ。


こうすれば、俺がS級魔物をかくまっているとはバレまい。


そうして、俺はミスティカ学園受付に行き、入学試験の受付を済ませた。


「春季入学試験は1か月後です。」


入試は1か月後か。


入試は試合方式。


全部で3回戦あって、その中で試験官のお眼鏡にかなえば、合格となるわけだ。


勝ち負けはあまり関係ない。


試験官が合格とするかどうかがすべてだ。


入試までの間、何しよう。


やっぱり訓練かな?


そうだ!


訓練も大事だけど、ライムとムイラには外の世界を見せてやろう。


スライム状になって、俺の身体にまとわりつけば、外を歩いてもスライムだとはバレまい。


不思議がられはするが、ただのスライム系のスキル持ちだと勘違いしてくれるはずだ。


俺はさっそく家に戻り、2人に伝えた。


「お前たち、外に出てみたくはないか?

 ずっと家の中というのも退屈だろう?」


ライムとムイラは驚く。


「え?そんなことできるの?

 人間に私たちの存在がバレたらいけないわ!」


「いや、俺にまとわりついてくれれば、単なるスキル持ちとして解釈してくれるはず。

 だから、誰もスライムだとは思わないさ。」


「なるほど、さすがは父さん!」


そうして、2人は俺にまとわりついた。


そして、街のいろんなところを案内した。


「ここは市場だ。

 俺の食べ物はいつもここで調達している。

 ここは学校だ。

 昔俺が通っていたんだぜ。」


2人は興味津々に外の世界を堪能した。


そして、俺はとある雑貨屋に入った。


「そうだ。

 この雑貨屋にある髪飾りを2人に買ってやるよ。

 これは家族の証だ!

 大事にしてくれよな。」


俺がそう言うと、2人はとてもうれしそうにうなずいた。


「ありがとう、あなた!」


「ありがとう、父さん!」


こうして、今日の散策は終えた。


家に戻ると、2人は元の姿に戻った。


そして、さっそく買った髪飾りを付けた。


「おお、似合っているぞ、2人とも!」


これがいわゆる家族サービスというやつだろうか。


でも、この言葉はあまり好きではない。


だって、『サービス』って部分がさ、なんかしてやっているって感じで偉そうだ。


俺たちは単純に家族みんなで散策を楽しんだんだ。


幸せだな。


でも、いつかは魔物もありのままで外を歩ける世界を作りたいよなあ、なんて考えた。


これじゃあ、スライムであるライムとムイラは俺にまとわりついて『見る』ことしかできないからな。


さて、今日はもう寝るとしよう。


と、寝る前に2人には魔力供給だな。


ムイラに吸収されると、俺は毎度気絶する。


どうせ気絶するなら、夜に眠るように気絶したい。


だから、眠る前に魔力供給をするようにしたのだ。


ライムはいつも通り超絶いやらしく俺の魔力を吸い取る。


ムイラは少し恥ずかしそうに俺の魔力を吸い取る。


反抗期が終わったとはいえ、まだこの行為に恥ずかしさは残っているのだろう。


ただ、朗報がある。


俺の魔力量が少しずつ上がっているのだ。


連日の魔力枯渇により、魔力が鍛えられているのだろう。


マラソントレーニングで走れる距離がどんどん伸びていくようなものだろう。


魔力量の増大は今後に控えるミスティカ学園の入試に向けてもいい傾向だろう。


まあ、なにより、ムイラの俺に対する罪悪感が払しょくされると良いな。


ムイラは毎度気絶する俺を見て、申し訳なく思っているのだろう。


魔力供給の時は毎回少し悲しそうな顔をしているのだ。


父親だから、そういった機微は見て取れるのだ。


さて、明日はトレーニングをしようじゃないか!


こうして、俺はムイラに魔力を吸い取られ、気絶した。


もっとも、気絶する時間も短くなってきてはいる。


きっと、魔力の回復スピードも上がっているのだろう。


それでは、また明日。


ぐふ・・・。



==== 作者あとがき ====


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