第5話 ムイラの更正

俺は兵士に切り倒された。


どうせ死のうとしてたし、まあ、いっか。


って、良くない!


せっかく俺がスキル持ちであると知ることができたんだ。


死ぬなんて、絶対いやだ!


これからの俺の人生はきっとバラ色なんだ!


でも、意識が遠のく。


血ってこんな温かいんだ・・・。


ああ、俺、死ぬかも・・・ぐふ・・・。


俺はそのまま意識を失った。


---


「・・・さん!父さん!父さん!」


んん・・・。


いたた・・・、兵士にやられた傷が痛む。


って、痛みを感じるってことは、俺、生きてる!


「父さん!意識が戻った!」


すると、そこにはライムとムイラがいた。


「あなた、良かったわ!!!」


ライムは泣いて俺の復活を喜んでくれている。


「ムイラが死にかけのあなたを運んできた時には、どうなることかと・・・。」


そうだったのか、ムイラが俺を助けてくれたんだな。


「ムイラ、感謝する。

 お前は命の恩人だ!」


すると、ムイラは照れくさそうにする。


「いや。助けて当然だよ、父さん。

 私のせいで父さんがひどい目に遭ったんだから・・・。」


そうだ。俺はムイラを呼び戻しに行った。


そうしたら、ムイラはスライムの大群を引き連れて暴走していたんだ。


「私、あの時はどうかしてた。

 家族と一緒にいるのが恥ずかしくて、何だか無性に腹が立って。

 そんな自分にも腹が立って。

 それで家を飛び出して、スライムたちを引き連れて鬱憤を晴らしてたんだ。

 悪かった、父さん。

 この通りだ!」


ムイラは土下座した。


なんだか、話し口調に落ち着きがあって、大人になったんだな、としみじみ感じた。


しかし、土下座はやりすぎだろう。


「おいおい、頭を上げてくれ。

 お前の謝罪なんか求めてないさ。

 自分なりに反省して、なにかを学んでくれたならそれで充分さ!」


「父さん・・・!」


ムイラは感動したのか、目に涙を浮かべていた。


「しかし、ムイラ。

 お前が起こした騒ぎはどうやって収拾したんだ?

 兵士まで出てきて大変だったろう?」


「ああ。私が全員気絶させて、私は逃げた。

 まあ、私の正体はバレたかもしれないけれど、私を目視したのはほんの数名の兵士。

 城中、未確認生物発見のうわさで持ちきりだろうけど、気絶した兵士のたわごととして片づけられるだろうさ。

 だから、父さんは何の心配もいらない。

 自分のケガの心配だけしてな。」


そうだったのか。


何人もの城の兵士を瞬時に気絶させてしまうとは、さすがは超スライムだ。


まさに天災だな。


「しかしな、もうあんな危険なことはするなよ。

 父さんの命がいくつあっても足らんではないか。

 はっはっは。」


「わかってるよ。私も反省してる。

 もうあんなことはしない。」


「それもそうだな。」


すると、ムイラが思い出したように言う。


「そうだ、父さん!

 私、薬草を持ってきたんだ!

 私の体内で薬草をすりつぶして保管しておるから、父さんに塗ってあげる!」


「そうか、そりゃ助かる。

 ありがとうな。」


そうして、ムイラは突然、俺に抱きついた。


そして、俺の胸のあたりの切り傷に薬草を塗り込んだ。


やべ、ムイラの胸、当たってるって・・・。


初めてのおっぱいタッチが娘のおっぱいだと・・・!?


ってか俺、一応童貞卒業したのか?


ライムでオナってムイラを妊娠したわけだが、あれで童貞卒業としていいのか疑問だな・・・。


と、スライムオ〇ホのことを考えていたら、俺のアソコがそそり立ってしまった!!!


すると、ムイラがそれに気付く。


「って父さん!

 娘のおっぱいで興奮するとか、マジあり得ない!!!」


バシンッ!!!


俺はムイラに平手打ちを食らってしまった。


俺は即座に弁明する。


「待て待て。ムイラで興奮したんじゃない。

 ライムとの情事を思い出してだな、それで興奮したんだ!

 娘で興奮するわけなかろう!!!」


「ほんとかあ!?」


ムイラは疑いの目を向ける。


「もう、あなたったら!!

 子どもの前よ!

 でも、あの夜のあなたはとっても激しかった。

 今思い出しても興奮しちゃうのはムリもないわね。」


ライムがフォローを入れてくれた。


ふう。


娘で興奮するわけが無かろう。


美人だとは思うがな、そう言う対象としては見ていないぞ!


しかし、ムイラが更正してくれてよかった。


あのまま反抗期がずっと続いては、俺の夢である学園入学もままならなかっただろうからな。


これで、ムイラと協力して学園の入学試験に臨めるぞ!


明日はさっそく、入学試験に応募しようではないか!



==== 作者あとがき ====


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