第3話 ムイラの底力
俺はムイラに魔力を吸引され、倒れた。
それから数時間後、ようやく目が覚めた。
「はっ!!!
俺はいったい!?」
すると、傍らにはライムがいた。
「ラ、ライムか・・・。
ムイラはどうした?」
「ムイラちゃんはここよ。」
すると、ライムの傍らには小学生中学年くらいの女の子が。
スライム状の見た目から、おそらくこれがムイラ。
幼稚園児くらいの見た目からもう小学生に成長している!
成長早すぎないか!?
すると、ライムは神妙な面持ちで俺に話を始める。
「あのね、あなた。
実は、とんでもないことが判明したの・・・。」
なんだろう、すごく嫌な予感しかしないのだが。
「な、なんだ?」
俺は恐る恐る尋ねる。
「ムイラちゃん、実はね・・・。
超スライムなの!!!」
超スライムだと!?
俺も学校の授業で教わったことはある。
魔物には、100年に1度、名前の頭に『超』が付く魔物が誕生すると・・・。
その個体は、普通の個体の数千倍のチカラを持つといわれているのだ。
人間たちは『超』個体を天災として認定するほどだ。
つまり、ムイラは天災なのだ!!!
こりゃあマズいことになったぞ。
ムイラの存在を知られたら、ここミスティカ王国中の兵士が飛んできて、ムイラを殺しにかかるだろう。
ムイラはスライムだが、俺のかわいい愛娘。
絶対に殺させはしない!
「ムイラ!
お前は絶対に外に出るな!
ライムもそうだが、ムイラは特にだ!
いいな!」
「う、うんお父さん。」
ムイラはもうしっかりと言語を解し、会話できるようになっている。
ことの重要性を理解してくれていることを望む。
すると、ムイラが口を開く。
「でもね、お父さん。
私、すごく強いみたいなの。
だからね、お父さんの役に立ちたい!
私ね、新技考えたの!」
なに!?
あまり余計なことをして家の外にムイラたちの存在がバレては困るぞ?
ムイラは続ける。
「心配しないで、お父さん。
周りにバレるようなことはしないから。」
すると、ムイラはスライム状の身体を伸ばし、俺の体を覆うようにぴったりフィットした。
そして、ムイラは俺の身体を自由自在に動かして見せた。
「ほらほら、すごいでしょ!?
これでお父さんのチカラに私のチカラが上乗せされるの!」
たしかにこりゃすごい。
俺は試しに、シャドーボクシングをしてみた。
シュッシュッシュ!!!
すんごいスピードのシャドーだ。
「ワンツー、ワンツー!」
ボクシング世界王者顔負けだぞこりゃあ。
これが超スライムのチカラかあ。
俺は一つの野望を思いついた。
スキル無しだった俺には到底かなわなかった夢。
ここミスティカ王国随一の学園、ミスティカ学園への入学だ。
この学園の入学試験は、試合に勝つこと、それだけ。
こんなに強いスキル持ちの俺にとって、入学はたやすいのではないか?
俺は期待を胸に膨らませた。
「すごいぞ、ムイラ!
これなら、父さんの夢、ミスティカ学園への入学も叶えられるかもしれん!」
「えへへ。お父さんの役に立てて良かった!!!」
なんて心優しい娘なんだ!
子育てという子育てをしていないのに、いい子に育ってくれたものだ!
「ありがとうな、ムイラ、ライム!」
俺は2人を抱きしめた。
そして、例のごとく・・・。
「あなた、おなかすいちゃった。
魔力を吸わせて?」
またか。
ライムはいいが、問題はムイラだ。
ムイラの魔力量は桁が違う。
俺の魔力がすっからかんになってしまう。
そして、またしても超絶いやらしくライムは俺の指に吸い付く。
やばいって。舐め方のいやらしさに磨きがかかっている・・・。
はあはあ。
「あなた、めっ!
子どもの前よ。」
俺はまたしてもライムにいさめられた。
すると、いよいよライムの番だ。
なぜかライムもいやらしくちゅうちゅう吸い付く。
母親の真似をしているのだろうか?
そんなところ、真似せんでよろしい!
すると、俺はまたしても頭がふらふらしてきた。
「お父さん、大丈夫?」
ムイラは俺を心配する。
しかし、親父の意地だ!
ムイラに心配をかけさせないためにも、最後まで耐える!
ムイラは俺の指を容赦なくちゅうちゅう吸っている。
うう・・・。
魔力が底をつきそうだ・・・。
ううううう・・・。
俺はそのまま気絶した。
---
「・・・なた!あなた!あなた!」
「はっ!!!
すまない!」
数時間後、またしても俺は目を覚ました。
ムイラ、情けない父さんですまない・・・。
すると、ライムの傍らにはムイラがいた。
もう高校生くらいまで成長しているではないか!
ライムに似て、なんという美少女だ!
父親の俺でさえ、その造形美に見とれてしまう。
すると、ムイラが口を開く。
「なんだよクソオヤジ!
こっち見んじゃねえ!」
えええええ!!!???
==== 作者あとがき ====
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