第2話 スライム一家
どういうことだ、いったい!
このスライム娘が俺の嫁と娘だと!?
俺ってば、結婚したつもりもないし、こいつを孕ませたつもりもないぞ!?
いや、待て。
冷静になれ。
俺は昨日、スライムに聖なる液を注入したな。
それで妊娠したってか!?
おいおいおい・・・。
マジかよお!
こいつが昨日のスライムなのか俺は確かめる。
「お前は、昨日俺がとっ捕まえたスライムか?」
「はい!
あなたに求愛を受けたから、私はそれを受け入れたの!」
おいおいおい、待て待て待て。
俺、求愛なんかしてねえぞ?
「そ、そんなつもりはなかったんだ!」
俺は正直に言った。
すると、そのスライム娘はすごく悲しそうな表情をする。
「そ、そんな・・・。
私の身体が目当てだったの!?
子供まで作らせておいて・・・ひどいわ・・・!!!」
なんだか、俺が悪者みたいになってない!?
俺の娘はすごい剣幕で俺をにらむ・・・。
母親にひどいことを言って傷つけたからだろう。
「わ、わかったよ!!!
さっきのは冗談だ!
お前に一目ぼれして、思わず捕まえちゃったんだ!」
すると、スライム娘は表情が少し明るくなった。
ふう、機嫌を戻してくれたかな。
「やっぱり!あなたったら、恥ずかしがり屋さんなんだから!
ちゅっ!」
おっふ。
スライムとはいえ、見た目は超美人。
キスされたら嬉しいものだな。
「それで・・・いったい何なんだ!?
お前らは『スライム』で合っているんだよな?
なぜ人間みたいな見た目なんだ?」
「あなたのスキルによって、人間みたいな姿になったの!
そして私は妊娠し、この子を授かったのよ。
こんなに幸せなことってある!?
私に子供を授けてくれてありがとう、あ・な・た♡」
俺のスキルだと!?
俺はスキル無しだと思っていたが、実は違ったというのか?
たしかに、本当にこれが俺のスキルだとして、魔物と交尾して初めてこのスキルは開花する。
今までこのスキルに気づけるはずもなかった。
魔物と交尾なんて普通考えないからな。
このスキルは『魔物交尾』とでも名付けよう。
しかし、スライム以外の魔物にも使えるのかはおいおい検証する必要があるな。
そういえば、こいつらに名前ってあるのかな?
「お前ら、名前ってあるのか?」
「いいえ。ないわ!
付けてくれるの!?」
そうか。
スライムに名前などあるわけないか。
じゃあ付けてやろう。
俺は少し考え、安直ではあるが名前を付けた。
「お前はライム。娘はムイラだ!」
ライムとムイラは嬉しそうにしている。
こんな名前で喜んでくれるのか、それならそれでまあいっか。
すると、申し訳なさそうな顔をしてライムが俺に声をかける。
「あなた。そのう・・・。
おなかがすいちゃったの。
なにか食べさせて?」
スライムってなんか食うの!?
まいったな。
食費がかさむじゃねえか。
ただでさえ俺は貧乏なんだぞ!
「おいおい。
俺にはお前らを養うかねなんて無いぞ。
まさか子供までできるなんて俺にとっちゃ寝耳に水だ。」
すると、ライムはまたしても悲しそうな顔をする。
「そんな・・・、昨晩はあんなに私に愛を注いでくれたのに・・・。
あれは嘘だったというの、あなた!」
おいおい、またそれかよ・・・。
孕ませたからには責任をとれといいたいのだな。
ああ、わかったよ!
とりゃいいんだろ、責任!
「すまん、言いすぎた。
しかしな、金が無いのは事実。
どうしようもないんだ。」
俺は正直に言った。
「あなた、カネカネというけれど、私たちはあなたの魔力を分け与えてくれればそれでいいのよ?
私たち魔族のエネルギー源は魔力なの。
だから、あなたの魔力を少しちょうだい?」
あ、そうなの?
俺の魔力で事足りるならまあいいか。
「そういう大事なことは先に言ってくれ!」
で、魔力ってどうわたせばいいんだ?
「じゃ、じゃあ、いただきます。」
ライムはそう言うと、俺の右腕を手に取った。
そして、俺の指先を口に含み、いやらしく舐め舐めちゅっちゅする。
おいおい!
そのあまりのいやらしさに俺は一瞬で興奮してしまい、俺のナニは一瞬でそそり立った。
ライムはそれに気付くと俺にこっそりと言う。
「あなた、子供の前よ。
エッチなことは子供がいないときに、ね?」
くうう。
色っぽく指を舐めてきたのはそっちだろうに。
ここは我慢だな。
ライムが俺の魔力を吸収し終えると、今度はムイラが俺の指をちゅぱちゅぱし始めた。
なんというか、母性本能をくすぐられるなあ。
なんだか母親が我が子に乳を与えるときの感情が分かった気がする。
すると、なんだか俺は頭がふらふらしてきた。
ムイラが吸収する魔力は、ライムのそれと比べて桁が違うのだ!
ぎゅいーーーーーーん!!!
めちゃくちゃな魔力量を吸い取られる!
なんなんだ、ムイラのこの吸引量は!!!
俺はそのまま意識を失った・・・。
==== 作者あとがき ====
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