第11話

「ひ、広い…!」


中はシンプルな家具で揃っており、無駄がなく清潔感があった。

…何よ、非の打ち所がないじゃない。


「コーヒー淹れますね」


「あ、ありがとうございます…」


周りを見渡しながら歩き進める。

薄い大きなテレビ。

キッチンにはワインセラー。

洋画から邦画まで様々なDVDが綺麗に陳列されている。

意外だな、本とかしかないのかと思ってた。


「映画お好きなんですか?」


「映画館より家で観る方が好きでして」


「わかります。人がいるとどうしても集中できないですよね」


「はい」


「あ、この映画私も好きで持ってます」


「どれですか?」


「…!」


耳元で囁かれ、ビクッとする。

近くに天城さんがいるのがわかる。


「あぁ、これですか。結構前なのによくご存知ですね」


「あっ…」


私の手にわざと触れるようにしてDVDを取り出す。

私、どうしちゃったのよ…

天城さんのこと意識するなんて…



私は慌てて彼から離れるとソファに座った。

まずは落ち着いて深呼吸…


「どうぞ」


「あ、ありがとうございます。いただきます」


マグカップを受け取り、コーヒーを一口。

美味しい…

少し落ち着いたかも…

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