第9話

昨日に引き続き、天城さんのサポートをする。

上手く話が進み、受注した。


「さすがですね!こんなにも早く受注するなんて滅多にないです」


「いや、香坂さんの分かりやすい資料のおかげですよ」


「いえいえ!あのお客さん、気難しい人で有名なんですから!天城さんだからこそ、うちに決めて下さったんですよ」


「…香坂さんは優しいですね」


「え!?あ、いや…これは別に…」


「この後…来てくれますよね?」


うわぁ…

前髪が短くなって天城さんの顔がはっきりと見える今、直視できなくなる。

…だって、カッコ良すぎるんだもん。


「は、はい…」


断りきれず、結局店に行くことに。

昨日とは違う天城さんの姿に頭が追いついていかない。

…本当に同一人物とは思えない。

そういえば、天城さんって身長高いんだな。

今まであまり意識してこなかったけど、改めて見ると気づく点もある。



昨日と同じ店に入り、ビールとおつまみを頼む。

乾杯をして、一口飲む。

今日は緊張のせいか上手く喉を通らない。


「香坂さん」


「は、はい…」


「俺は今、理想の男性に近づいてますか?」


「え…」


「前髪は自分で切ったのですが、コンタクトはしたことがなかったので、今は眼鏡のままで勘弁して下さい」


そ、それは…

確かに昨日言った条件にほぼ適合してるけど…


「…俺から提案があります」


「な、何ですか」


「期限付きで俺と付き合いませんか?」


「期限付き…?」


「そうですね…ずるずる引っ張ってもあれなので期限は半年の6ヶ月でどうですか?」


「えっと、待ってください…」


「その間で俺のことを知ってもらいます。知った上でやはり合わないということであれば別れればいい話です」


「ほ、本気ですか…!?」


「俺はいつだって本気です。嘘はつきません」


…天城さんってこんなにも良く話す人だったっけ?

なんだか印象が変わりすぎて調子が狂う。

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