第6話

「香坂さん…可愛いな」


「…え?」


…今、なんて?

私が…可愛い?


「食べている香坂さんも、恥ずかしがっている香坂さんも可愛くてずっと見ていたくなります」


「あ、あの…天城さん?」


…あ、もしかして酔ってる?

天城さんって意外とお酒弱いタイプ?

ならもうお開きにする?


「酔ってないですよ。頭ならはっきりしてます」


「なっ…!」


何で私の考えてることがわかるの!?

思考まで読めちゃうわけ!?


「ど、どうしたんですか?今日の天城さん、なんか変ですよ…?」


「…わからないですか?」


「え?」


「俺、今あなたを口説いてるんですが」


「…へ?」


いや、待って意味がわからない。

私、天城さんに口説かれてるの?

どうして?なんで??


「それはつまり…一目惚れですか?」


「…そうですね。俺は香坂さんに一目惚れしました」


…わぁ、すっごく素直。

でも今のあなたは目も見えずどんな表情をしているのかもわからない。


「どうして…私なんですか?」


「初めて話したときからあなたは良い人だと思いました。こんな見た目の俺でも嫌な顔一つせず接してくれる。それに、仕事も早くて何も言わなくても先を見て行動してくれる」


私は別にただ、普通に仕事をしていただけなのに…


「なにより…あなたは綺麗だ」


「えっ」


「俺が見てきた女性の中で一番綺麗だ」


そんな真剣な顔で見つめてこないでよ…!

恥ずかしくなり、ビールを一気に飲み干す。


「…もしかして照れてますか?」


「なっ…!照れてなんかいません!」


私がムキになると天城さんはクスッと笑った。

…天城さんも笑うことあるんだ。

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