第3話

「香坂さん、天城さんに何か言われたらすぐ報告してくださいね…!」


「大丈夫ですよ。心配して下さりありがとうございます」


「俺たちは香坂さんの味方ですから…!」


「ありがとうございます。…では行ってきます」



男性社員たちに小声で言われ、思わず愛想笑いしてしまう。

仮に天城さんに何か言われたとしてもそれは私に落ち度があった時だろうし特に心配なんて…



天城さんが待っているエレベーターに乗り込み、ロビーへ向かう。


「事前に言っていた資料は用意して下さいましたか?」


「もちろんです。念のため別パターンのデータ資料も持参しています」


「そうですか。…香坂さんが補佐に回って下さると助かります」


「いえ…」


珍しく褒められた…

やっぱりみんなが思ってるような人じゃないと思うんだけどな…




それから先方との打ち合わせで天城さんが丁寧に説明をし、横で資料を渡す作業をする。

随時必要なデータを引っ張り、ノートパソコンで提示することもあった。

無事に商談は終わり、外はすっかり日が暮れていた。

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