第2話 ずっと好きでした

登場人物。


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:23

身長:176


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:23

身長:162





そして、その日の夜。

水樹みずきはバレンタインパーティーとやらをやるために太希たいきの家に来ていた。


「チキン。チキン。チキン。」


そう水樹はこたつに入って子供の様にチキンコールをする。


「うっさいぞ~ぉ。今温めてるだろうがぁ。ワインでも準備してろい。」


そう太希がキッチンから水樹に声をかける。


「イエッサー。シェフ。」


「誰がシェフじゃい。」



「それではロマン溢れるバレンタインに乾杯。」


そう言って水樹は赤ワインが入ったグラスを掲げる。


「へ~い。」


そう太希は適当な返事をして水樹のグラスに自分のグラスを当てる。


その後、2人は赤ワインを1口飲む。


「う~ん。美しい味がするね。」


そう水樹がどや顔でワインの感想を話す。


「なんだよ、美しい味って。」


そう太希が呆れた目を向けながらツッコム。


「まぁまぁ、細かいことはいいじゃん。

チキン食べよう。チキン。」


そう言って水樹は皿に乗ってあるチキンを1つ掴むと1口食べる。


「うま~ぁい。」


そう水樹は感動の声をげる。


そんな水樹の嬉しそうな様子を見ながら太希も1口食べる。


「これはどこのチキンですか?奥さん。」


「誰でも知ってる有名チェーン店のチキンですよ、奥さん。」



「ふ~ぅ。食べた~ぁ。飲んだ~ぁ。

幸せだ~ぁ。」


そう水樹は幸せそうにこたつの机の上に顔を乗せる。


「そのまま寝るなよ?起こすの面倒だから。」


そう太希は流し台に洗い物を置きながら水樹に言う。


「わ~ぁてますよ~ぉ。」


そう答える水樹の声に力はない。


そんな水樹の様子に太希はため息をこぼす。



「そうだ。太希君に渡すものがあったんだ。」


そういきなり元気に水樹は起き上がる。


その後、自分の鞄の中から四角い箱を取り出すと太希に渡す。


「なんだ?これ?」


そう太希は受け取った箱を見つめながら首を傾げる。


「バレンタインのプレゼント。

開けてみて。」


そう水樹に言われて太希は包み紙をやぶる。


プレゼントは銀色の腕時計だった。


「太希君、腕時計1個も持ってなかったでしょ?普段はずっと家に居るから使わないかもだけど、1個ぐらい持っててもいいかな?って思って。」


そう水樹が笑顔で話す。


「ありがとう。大切にするよ。」


そう太希は腕時計を見つめながら答える。


その返事を聞いた水樹は1つ深呼吸をすると真剣な眼差しを作る。


その水樹の様子に太希も緊張する。


「…ねぇ…太希君。私達って結構長い付き合いだよね?」


「まぁ、高1の時からだからな。」


「…その時から今までずっと言えずにいた言葉があるんだ。」


そこまで話すと水樹はもう1度深呼吸をする。


「・・・太希君…高校生の時から…ずっと好きでした。私と…付き合ってください。」


そう水樹は真っ直ぐ真剣な眼をして想いを伝える。


その水樹の告白に太希は一瞬頭が真っ白になるがすぐに意識を現実に戻す。


「オレも…」


そう返事をしようとした太希を水樹が止める。


「返事は1ヶ月後にお願い。」


「え?」


そう太希は驚いた顔をする。


「1ヶ月後の3月14日はなんの日?」


そういきなり質問されたが太希は考える。


「ホワイトデー?」


「正解!!」


そう水樹は嬉しそうに微笑む。


「だから、私の告白にOKなら今日私があげた腕時計のお返しをして。

そうだなぁ。私に似合うネックレスでいいよ。」


そう話す水樹の言葉を太希の頭が理解するのに数分かかる。


「…つまり…返事はホワイトデーまでするなって事か?」


そう太希は尋ねる。


「そう。普通にするよりもロマンチックでしょ?嫌かな?」


そう水樹は少し不安そうに尋ねる。


そんな水樹の表情を見て太希は思い出す。


{これからも色々と付き合ってね。}


(なるほど。色々ってこの事か。)


そう太希は理解する。


「いいよ。それで。オレの返事は変わらないから。」


そう太希は優しい微笑みを見せて答える。


「ありがとう。どんな返事がくるのか楽しみにしてるね。」


そう水樹は嬉しそうに微笑む。

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