第18話 消しゴム

 次の授業の準備をしていた時、私の机の上にあった消しゴムが筆箱に当たって転がっていってしまった。


「あ……」


 それは机から落っこちて、山越くんの足元に落ちた。


「落ちたよ」

「ありがとう、山越くん」


 山越くんから消しゴムを受け取ると、私は筆箱の中にそれをしまった。


「消しゴムになんか書いた?」

「書いてないけど……どうしたの?」

「あれってね、消しゴムの種類によっては油性ペンで書いたら悲惨なことになるんだ」

「へえ」


 実体験かな。たしかにそうだった気がするけど。


「名前書いてもさ、誰のか分かんなくなっちゃうんだよね……」

「そうだね……」

「だから、人の名前、書くときは気をつけたほうがいいよ」

「……?うん」


 なんの忠告かは分からないけど、山越くんが真剣な顔で言うので私は心にとどめておくことにした。

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