第19話 腹の虫
ぐう。
山越くんのお腹から聞こえたその音はきっと、山越くんの胃が空であることを知らせているのだろう。
ちなみに今は1時間目だ。
「筒井さん」
「なに?」
「今のは聞かなかったことにしてくれないかな……」
「私まだ何も言ってないよ?」
「これはその、僕の腹の……虫が誤作動を起こして……」
それはそれで大問題だよ山越くん。誤作動って何。
「あとでお菓子あげるよ」
「いいの?」
「うん」
山越くんは見るからにつらそうだ。それを見て放っておく方が難しい。
休み時間、山越くんは私があげたお菓子を食べていた。山越くんは口が小さくて、リスみたいだった。
「山越くん、弁当は?」
「ない」
「焼きそばパンは?」
「売り切れてた」
お菓子を食べ終わった山越くんは、言った。
「この恩は忘れない。今度僕が特製の焼きそばパンを作ってくるよ」
どこまで冗談か分からないことを言って、山越くんはどこかに行ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます