第17話 傘

 朝、学校に行くと山越くんがずぶ濡れになっていた。前髪がべっとりと顔に張り付いている。


「おはよう筒井さん」

「おはよう山越くん……大丈夫?」

「大丈夫、傘忘れただけだから。電車降りたら降ってたんだよね」

「タオル貸そうか?」


 運良く私は大して濡れてない。それより山越くんのほうが心配だ。


「いや、持ってる」


 山越くんはずぶ濡れのカバンからタオルを取り出し、頭を拭いた。そしてもう一枚タオルを取り出し、カバンも拭いている。


「靴下……濡れちゃったな」

「脱いだら?入れる袋なら持ってるよ」

「替えの靴下あるから大丈夫」


 そう言って山越くんは靴下を履き替えた。準備いいな……。


 それでなんで傘は忘れたんだろう……?謎だ……。

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