第16話 手紙

 朝学校に行くと、山越くんがいなかった。

 いつも私より早く学校に着く山越くんの席には誰もいない。




 その日、山越くんは学校を休んだのだ。




 授業終わり、私は先生に呼び出された。


「筒井、これ山越の机の中に入れておいて」


 渡されたのは数枚のプリント。授業中に配られたものだ。


「分かりました」


 私は山越くんの机の中を見た。

 教科書は置き勉しないのだろうか、何も入っていない。かに見えた。


「うん?」


 入っていたのは1枚の紙。小さくて、見えなかった。

 勝手に見るのは悪いと思ったけど、ノートの切れ端に何が書かれていたのか気になって中を見た。


「昨日の昼から熱っぽくて学校を休みました。明日には学校に行きます。あとプリント入れてくれてありがとう」


 ……明らかに私、プリントを入れる人に宛てた手紙。なんで山越くんがこんなことをしたのか分からないけど、昨日から体調が悪かったなんて気が付かなかった。


 もっと山越くんのことを見ておかなきゃいけない。そんな気がした。

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