第14話 鉛筆
「筒井さん、彫刻刀持ってない?デザインナイフとか」
「ごめん、持ってない……」
この間持って帰ったばっかりだ。にしても彫刻刀なんて何に使うんだろう?
「じゃあカッター」
「ない」
「なんでもいいから刃物ない?」
「……何に使うの?」
さっきから山越くんが怖すぎる。刃物って。
「鉛筆を削るのに……使う」
「鉛筆削りあるよ?使う?」
「お願いします!」
私が鉛筆削りを手渡すと、山越くんは嬉々としてペンケースから鉛筆を取り出した。
「にしても山越くん、ナイフで鉛筆を削るなんてすごいね」
「鉛筆削りって使いづらくない?」
「そうかな」
「力加減が分からなくて……」
私はナイフで削るほうが力加減が分からないよ。指切りそうで怖い。
「それなら私が山越くんの鉛筆削ろうか?」
「いいの?」
「うん」
山越くんから鉛筆削りと鉛筆を受け取り、私は鉛筆を削った。
「はい、できた」
「ありがとう。で、すごい言いづらいんだけどさ、筒井さん」
「どうしたの?」
山越くんはペンケースから3本の鉛筆を取り出した。
全部、芯が折れている。
「これもお願いしていい?」
「……分かった!」
私は結局、山越くんの4本の鉛筆を削ることになってしまった。
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