第12話 お迎え

「白馬の王子様よりもフェラーリの王子様のほうがいいと思うんだよね……」


 何いきなり。白馬の王子様なら聞いたことあるけど、フェラーリの王子様って何。


「馬乗れるだけじゃ経済力の保証にならないし……フェラーリだったら100%お金持ちだって分かるよね」


 私はどっちも嫌だ。絶対嫌。


「筒井さんは白馬の王子様に憧れる?」

「いや……私は……憧れないかな」

「そっか、女子はそういうの好きだと思ったんだけど」


 女子への偏見がすごいよ山越くん。そんな女子そうそういないから。


「筒井さんなら何で迎えに来てほしい?」

「私!?私は軽自動車でいいよ。ほら……馬もオープンカーも目立つし……」

「普通が一番ってこと?」

「そう!」


 私が力を込めて言うと、山越くんは頷いた。


「軽自動車でいいなら、普通に働いてたら買えるしハードルが低いな」


 そう言って山越くんは笑った。

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