第7話 缶とストロー

 山越くんが缶ジュースを買ってきた。多分自販機に売ってたやつだろう。

 山越くんはその缶を机の上に置くと、自分のカバンを何やら漁りだした。


 飲まないのかな。まさか、缶ジュースは早弁のお供とか?


 すると山越くんは、カバンの中からケースを取り出した。細長い、ステンレスのケース。


 袋を机の上に置くと、缶を開けた。プシュ、と気持ちのいい音がなって、オレンジジュースの匂いがした。


 山越くんはケースから、ストローを取り出す。あ、それ百均で売ってるやつだ。使い捨てじゃない、洗って再利用できるタイプの地球に優しいストロー。

 山越くんはそれを缶の飲み口に差して、ジュースを飲み始めた。


 山越くん、缶の飲み物をストローで飲む人なんだ。しかも持ち歩いてるなんて、意識が高い。


「……筒井さん」


 しまった、見ているのがバレた。


「山越くんストロー持ち歩いてるなんてすごいね!」

「……うん」


 山越くんは缶を持って、私に見せた。


「口をつけて飲んだら、この飲み口の近くにジュースの水滴がつくでしょ?僕、それがどうしても嫌で。もったいないって思っちゃうんだよね」

「あー……」


 正直そこまで考えたことなかったな。でも、たしかに不衛生かもしれない。というかもったいないって思うんだ……。


「これは学校の近くの百均で買った。筒井さんもどう?便利だよ」

「へー……」


 今日、ちょっと寄ってみようかな。

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