第6話 焼きそばパン

 今日はいつも一緒に昼ご飯を食べている友達が休み。私は自席で弁当を広げた。


「焼きそばパン、あなたはどうして焼きそばパンなの?」


 そんなロミジュリみたいなことを言い出して、山越くんは一体どうしてしまったんだろう。

 その手にある焼きそばパンに何を呼びかけているのだろう。


「どうしてあなたはそんなにおいしいの?」

「……山越くんは焼きそばパン、好きなんだ?」


 私がそう言うと山越くんはくるっと私の方を向いて頷いた。


「好きだよ。大好きだ」


 幸せそうに笑う山越くん。そんな顔、私は初めて見た。


「いただきます」


 焼きそばパンを頬張る山越くん。とっても嬉しそうな彼は、机の中からもう一つ焼きそばパンを取り出した。


「筒井さん、これあげるよ」

「えっ?」


 私の手の上にポンと置かれた焼きそばパン。私はわけが分からなくて、山越くんを見た。


「おいしいよ」


 そう言って山越くんは焼きそばパンを食べきると、席を立った。

 ちなみに焼きそばパンはおいしかった。

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