第3話 さんばんめ

「3に呪われる人生だった……」


 勝手に終わらせないで山越くん。あなたはまだ15か16でしょ。そういえば出席番号は33番だね。


「どうして毎度毎度、3番目なんだ……」


 前から3番目……あ、背の順?そうだっけ。前から3番目。たしかそうだったと思う。

 そういえば、出席番号も後ろから3番目なんだった。


「3って縁起の良い数字じゃない?」

「数字に呪われたことがない筒井さんにはわからないかもしれないけど、僕、誕生日3月3日なんだ」

「……そうなんだ?」


 見事に3だ。呪われてるとまでは言わなくても、その誕生日の時点で3に縁があるのは間違いない。


「僕の人生には3が付き纏う。きっとそうだ、そうに決まってる」

「諦めるのはよくないと思うよ?」


 何のフォローか分からないことを言って、私は山越くんを励ましたつもりだったんだけど。


「筒井さん、誕生日何月何日?」

「……10月28日」

「よし、3が一つも入ってない。筒井さんのパワーをどうか僕にくれないか」

「はい?」


 手をかざして私からパワーを吸い上げようとする山越くん。

 たしかに私の誕生日には3が一つも入ってない。でも。


「私も3組だよ?私のパワーをもらっても意味ないんじゃない?」

「……そっか」


 山越くんは手を降ろし、教室を出ていった。

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