第4話 学校の机

 私の隣で机を指でコンコンと叩く山越くん。


「……なんで」


 囁くように、でもどこか力のこもった声。一体何が山越くんをそうさせているのか、気になる。


「なんで、木じゃないんだ……」

「え?」

「この机は、なんで木じゃないんだろう」


 ……ああ、そういうこと?いや、全く意味わかんないけど。そんなこと、考えたことなかったから。

 木だったら何かあるんだろうか。もしかして山越くん、木の匂いが好きとか?


「木じゃないと彫れない……」


 彫るって、文字とかを?なんで?彫りたいの?


「なっ、何を彫りたいの?」

「……え?」

「え?」


 まさかノープランですか山越くん。何か彫りたいからそんなこと言ったんじゃないの?


「自分の名前、とかは?」

「いや、そんな後世に僕の名前なんか残したくないし……」

「ええ……」


 真剣に何を彫ろうか考えている山越くん。どうやら本当に全くのノープランらしい。


「そうだ、筒井さんの名前を彫ろう」

「なんで!?」


 私だって恥ずかしいから嫌だよ!山越くん何考えてんの!

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