第6話


今まで俺達はお互いに接触は避けてきた筈だ。

何故なら向こうはこの街を統べる「帝王」

俺はその陰に姿を潜ませ息をする、ただの烏にすぎない。



 

だから俺も京極組には手を出した事はなかった。

帝王にとってマイナスとなる事は何もしていない筈だ。



 

だか、もし帝王が俺を探っていたとなれば状況は変わってくる。

俺は月島にしてやられたって事だ。





月島はきっとこうなれば、俺が動く事がわかっていたんだ。

だからわざわざ月城組のデータベースを使い、俺のパソコンに侵入を試みたに違いない。


月城組は初めからただの捨て駒にすぎなかったんだ。


 






そこまで考えた俺は、この場所を早々に離れる事を選択した。



理由は後から探ればいい。

見つかる前に姿を消すのが賢明な判断だ、そう考え静かに立ち上がろうとしたその瞬間。






 「 っっ!!」

 





素早く身を隠す。

帝王がこちらを見上げた。


ほんの一瞬、目が合った気がした.....。

いや確実に奴と目が合った。


たかが一瞬、

だがその一瞬でもあの目に囚われそうになった。





ドクン、ドクン、と心臓が激しく動き、嫌な汗が一筋流れた。

それを合図に俺はその場から動き出していた。

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