第27話:日常

 日曜日の練習も終わり、月曜日の家庭科の時間。


「──遺伝子組み換え食品は、アルファルファ・なたね・綿実・とうもろこし・大豆・てん菜・パパイヤ・じゃがいも・からしなの9つあります」


「うげ……多くね……? これ覚えないといけないんですかー?」


「テストのときは、まぁ、覚えたら得でしょうねー。ただ、安心してください。覚え方があります」


「おっ、先生神!」


「よくわかりましたね。コホン、覚え方は、綿実をわたと捉えて──あ、テストでわたって書いたら不正解ですからね──『あ』『なた』『は(わ)』『とう』『だい』『てんさい』『ぱぱ』の遺伝子(組み換え食品)『じゃ』ないです」


 ……すごい、ゴリ押し感しかない。


「あ、なた、は……って先生ー! からしなが入ってないでーす!」


「あぁ、すみません。あれは最近仲間に入ったので知りません。気合いで覚えてね」


 ちょっと先生、そこで諦めるないでよ……。


「あと、からしなってなんですかー?」


「…………な、なんなんでしょう……?」


 ……ちょっと。


「教える側の立場が理解していないのは問題じゃね?」


 祐希くんの一言でクラスが笑い声で満ちた。


 そして。


「祐希くん、覚えておくように」


「いや俺は悪くないってこれええええ!!!」


 ◇◆◇


 放課後。


 教材などをバッグに詰めていると、祐希くんが僕の席に来た。


「奥さんの調子はどうだい?」


「僕いつの間にか結婚してない? 早いことに、もう大丈夫っぽいよ」


「え、マジで?」


 祐希は驚いた様子で僕の前の席にいるえいなの方を見た。


「いえい」


 控えめにピースサインを作りながら言った。


「いやマジですげーよ……俺とかそんな短期間で翔でもこの早さは無理だぞ……なんかいい起点でもあったのか」


 祐希くんの言葉に、僕はおとといのことが自然と思い出される。



 ──わたしはそーたにお夢中さんだから。



 セリフがセリフだから、僕はあのときのことを写真のように──ううん、動画のように蘇ってきた。


 顔が少し赤くなってきているのが自分でも分かる。


「な、なにもなかった、よ?」


 僕は全く冷静を装えずに答えた。


「えっ、もしかして……おとといはお楽しみでした?」


「それだけは特大の誤解だからね!?!?」


 突然何言い出してるのこの人!?


 すると僕達の会話を聞いたえいなが、


「そーたは楽しくなかったの……?」


「い、いやそうじゃなくてね?」


「楽しかったの、わたしだけ?」



「おーい凪ー、プレゼント買いに行かねえといけなくなったぞ。このあと行くか」


「だから違うからーー!!!!」


「えっ……ほんとに楽しくなかったの……?」


「それも違くてですねお嬢様っっっ!!!」


 どうすればいいんだよおおおおお!!!





《あとがき》


箸休め会です。

少々リアルが忙しくなってきたので、投稿時間を以下のように変更します。

18:02 → 19:02

また、投稿が途切れる日があるかもございませんので、ご了承ください……!

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