第28話:3人でヒミツの練習
土曜日。体育祭が1週間前にまで迫ってきた。
日に日に暑さを増してくるこの時期。
僕はともかくきりとえいなは、中学時代完全に引きこもっていたため、暑さにめちゃくちゃ弱い。
2人は、真っ昼間の灼熱の中で動きたくないと本気で訴えてきたので、日がある程度暮れてから高崎公園に集まった。
僕が着いてから5分ほど。
「やほー!」
「昨日ぶり」
靴ひもを結びなおしていた僕の後ろから、2人の声が聞こえてきた。
「お、2人とも来、た……」
僕がそう言いながら振り返ると、当然のことながら2人が立っていた。
僕が言葉に詰まったのはそこじゃなくて……初ジャージということで、少し恥ずかしそうにほおを染めているきりに、だった。
白を基調とし、黒のアクセントが入った、通気性の良さそうなフード付きの上ジャージ。
どちらかというと体にピタッと張り付くような作りなので、きりの豊満な体つきが否が応でも目に入ってしまう。
そして、逆に黒を主体とした動きやすそうな下ジャージ。
布があるというのに、きりの美脚が隠しきれていないのなど、一目瞭然だった。
その隣には以前と同じスポーツウェアを着たえいな。
あの2人の場所だけ、この世界から切り離されたようにきらきら輝いて見えて、すごく……
「かわい」
「「へ……っ!?」」
「あ、あぁごめん!! 考えてたことがついそのまま……!」
って、それじゃ本音ってこともバレちゃうじゃん……! うぅ、さすがに恥ずかしい……。
僕が脳内反省会をしていると、きりが僕に近づいてきて……
「んーん…………もっと、言って?」
かぁぁぁ、とさくらんぼのように赤くしたほおを少し手で隠しながら言う。
僕の顔をそのまま見ることはできないみたいだけど、目線だけは合わせてくれるその格好。僕からすれば『上目遣い』となるわけで……。
「……うん、すっごいかわいいよ……」
「……えへ、もっと」
「と、とりあえず走って体力つけなきゃだよ! さっ、行こ!」
「あ、逃げられた〜!!」
僕は耐えられなくなって逃げ出した。
2人がすぐに追いつけるくらいの速さで走ってたから、案の定すぐに僕の両隣に並んだ。
「わたしには何もない、の?」
「先週の分だけで許してくださいお嬢様」
「先週何かあったんですか主様?」
「あ、ある……い、いやただ一緒にランニングしただけだよ」
お嬢様の対義語で主様になったんだよね? 多分。でも、さすがに心臓に悪いからやめて欲しいな?
えいなのかまってちゃんモードにつっかかってきたきりを、僕はそれとなく宥めた。
「ん。そーたがわたしにお夢中さんってだけ」
ぜんぶバラされました、ハイ。
「……ほほう!?!?」
「すごく誤解がある気がするけど、とりあえずあとで弁明させてほしいな?」
「くーっ、わ、私の方が……いっぱい育ってるのに……!」
そう言ってきりは両手を動かし……。
むにぃ。
「走るのに集中しよっか!?!?!?」
外なんだよきりぃぃぃ!!!! いや、家の中でもだめだけど……!!!
《あとがき》
付き合っちゃえよ()
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同じ高校に通うことになったネッ友2人は、絶世の美少女でした〜高校で堂々と迫ってくるんだけど、周囲の目がヤバいのでやめてくれませんか!?〜 もかの @shinomiyamokano
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