第26話:ランニング

 土曜日の午後5時。


 僕たちの予定が上手く噛み合わず、高崎公園に集まれたのは僕とえいなだけだけみたい。


 今日は、えいなの希望でランニングをするようだ。


 なので僕もランニングウェアを来て高崎公園に来ていた。


 僕は毎日ランニングしてるからスポーツウェアあったけど、えいなは運動できる服あるのかな……?


 そんなことを思いつつスマホを触って待っていると、


「お、おまたせ……」


 僕の後ろから控えめなえいなの声が聞こえてきた。


「あ、えいなこんばんは、全然待ってな──」


 僕がそう言いながら振り返ると、スポーツウェアを来たえいながいた。


 普段と違う服を着ているからというのもあるけど、その可愛さのあまり僕は思わず言葉に詰まってしまった。



 普段は白を貴重とした私服を着ているえいなだけど、今日は黒がメインの服にピンクのワンポイントが入った服で、そのギャップがめちゃくちゃ可愛い。


 だけど、ショートパンツに黒のタイツというところが、足を主張してきてて、思春期男子が見るには少しきつい。



「えと……あんまりジロジロ見られると……」


「へ……あ、ご、ごめん……」


「ん、んーん、そーたならだいじょーぶ」


 んんっっ!! またちょっと危ないことを……。


「ごめんね、つい可愛かったから……」


「……かわい?」


「うん」


「……どのへん?」


「え、そりゃいっぱいあるけど……いつもの白で合わせてるのも可愛いけど、今日みたいな黒のギャップもまた雰囲気変わって可愛いよ。あと──」


「も、もういい……」


「あ、そう?」


 もっと言えたけど、まぁえいながそう言うなら……。


「ほら、もうさき行っちゃうよ?」


 そう言って、えいなは僕の返事を待たずに走り出してしまった。


「あ、ちょ、ちょっと……!」


 僕はえいなに走って追いつく。そして、並んで走り出した。


「──そーた」


「ん?」


「わたしにお夢中さんだね?」


「へっ!?」


「あは、半分冗談」


 え、それって……半分は本気で言ってるってこと……?




「まぁでも──わたしはそーたにお夢中さんだから」




 照れながらそう言うと、また前向いて、少し速度を増しながら走り出した。


「ってあれ……? わたし走れて……」


「ほ、ほんとだ! 走れてるよ!!」


 えいながそうつぶやいて僕もやっと気づいたけど、ちゃんと走れていた!


 僕と話しながらだったから、過去のこととか忘れてはしれたのかな?


「で・も!」


「あいた」


 僕は走りながらえいなの頭を優しく叩く。


「あーいうこと、言うんじゃありません」


「どーいうこと?」


「だから……夢中、だとか」


「でも本音だし、今もそーたと一緒にいれて安心できてるから……いた」


「言うんじゃ、ありません……!」


 このときの僕の顔は、僕たちを照らしてくれている夕日より、赤く染まっていただろう。

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