第19話:いちゃいちゃ 1

 えーっと、ここかな?


 軽く準備をして早速家を出た僕は、きりが送ってくれた地図を参考に示された場所に来ていた。


 そこは一軒家であり、表札には『歌坂』の文字が。


 うん、多分ここで合ってるね。


 僕は早速インターホンを押してみる。


 ピンポーン。


『はーい……あ、そーたんきた! ちょっと待ってて、今鍵開けるー!』


 インターホン越しにきりの声が聞こえると、その後すぐに家の中からドタバタドタバタドシーンドタバタと聞こえてくる。


 ……ドシーン?


 1つ異様な音が混ざっていたを疑問に思っていると、玄関の扉がガチャっと開いた。


「いてててて……ど、どぞー!」


「絶対こけたよね!?」


 おしりを左手で押さえながら扉を開けたきりに、僕はツッコむ。


「し、しょうがないじゃーん……! 来てくれたのうれしくて走ったんだもん……」


「あ、そ、そうなんだ……」


 そんなかわいいこと言われたら何も言えないんだけど……!


「ま、とりあえず中入ってー! もうえいなも来てるから!」


「はーい、お、おじゃましまーす……」


 ◇◆◇


「なんか1人お亡くなりになってるんだけど」


 大きなテレビの前でうつ伏せになって倒れてるえいなを見て僕はそう言う。


 全体的に白を基調とした作りになっていて、ガラスのテーブルの上にはオレンジジュースが置かれていた。


 濃い茶色の棚や、テレビとテーブル挟んで反対側にあるグレーのL字ソファがアクセントとなっていて、可愛らしい家だった。


 ……きりのお父さんの意思、あんまり反映されてないんだろうなぁ。


「っと、あれ? お母さんたちは家にいないの?」


「今日は2人とも仕事ー! 泣きながら出勤していったよ」


「Oh……」


 祝日までお仕事、お疲れ様です。


「あ! ちょっと待ってて、そーたんのコップだしてなかった!」


「あ、ごめんありがとー!」


 バタバタときりはキッチンへと行った。


「……む」


「ん? どーしたえいな?」


「思ったよりそーたが構ってくれない……」


「構ってほしかったんだね……」


 テレビを見たら、アニカーで惨敗してるところが映ってたから、てっきりそれで落ち込んでるのかと思ってたよ……。


「はいはいよしよし」


 僕は荷物を置いてえいなの近くのカーペットに腰を下ろし、頭をポンポンと優しく叩く。


「むぅ……ざつ」


「えぇ……」


「でもうれしかったからゆるす」


「ん。ありがと」


 僕はそう言ってまた頭をポンポンする。すると、えいなは目を細めて満足そうな表情になる。


 ここまで表情が変わるのえいなを、かわいいとか言っていたクラスの人は見れないもので、僕しか見れないんだよね……。


 そう思うと僕も少しむず痒くなる。


「あっ、遠慮せずにソファに座っていいよぉ……って! ずるい! えいなばっかり!」


 コップを持ってきてくれたきりが、ポンポンされているえいなを見て、ぷくーっとほおをふくらませながらそう言った。


 そんな様子を見たえいなが一言。


「……ぶい」


「もっかいぼこぼこにするー!!!」


「あはは……」


 僕は笑うしかできなかった。


 ◇◆◇


「うん、なんで?」


「「ん?」」


 いや、僕がこういうのもしょうがないと思うんだよね?


 きりに言われて僕がソファに座ると、当たり前のようにえいなが僕の左側に、きりが僕の右側に腰かけた。


 まぁ、それだけならソファもそれなりに大きいし全然いいんだけど……。


「もうちょっと離れない?」


「「やだ。ここか1番安心する」」


「さいですか……」


 2人とも僕にめちゃくちゃ近いのだ。両サイドにあと1人ずつは入れそうなほど。


 窮屈なわけではない。ないんだけど……その、いろいろと当たっておりまして……。


「よし、次のレースいっくぞー!」


「え、このままやるの!?」


「「え、うん」」


「さすがにゲームしてるときは……さ?」


「「……だめ?」」


 その言葉とともに、両サイドからの絶世の美少女による上目遣いがくる。効果はバツグンだった。


「レース、行こっか……」


「「んっ!!」」


 耐えれるかな、僕。






《あとがき》


かー! お砂糖ましましですなぁ!()

さておき、切実な願いなのですが、実は今日ランキングが下がりまして……!

まだ星を入れてない方、お砂糖と交換して、助けてください……!!

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