第10話︰女子会

 Side 歌坂希里


 私は今、えいなと栗崎さんと食堂に来ていた。


 結構たくさんの人が食堂に来ていたが、それよりも食堂の広さのほうが勝っていて、どうにか座ることはできそうだった。


「うん! 全然座れそうだねー! とりあえず学食買っちゃおっか! 2人は何食べる? うちが一緒に買っちゃうけど」


 食券の列に並びながら、栗崎さんが私達に聞いてくる。


 うーん、今日はどうしよっかな……。


「わたし、カレーにする……」


 と、私が悩んでいると、先にえいなが栗崎さんに注文を伝えた。さすがのえいなも人に大食いなのを見せるのは、ちょっと恥ずかしいみたい。


「あ、じゃあ私もカレーにしようかな……えと、栗崎さんは?」


「む。紗良でいいよー! みんなカレーならうちもカレーにしようかな」


「栗崎さ──じゃなくて……さ、さらちゃんもカレーなら、みんなお揃いだね!」


 私がそう言うと、さらちゃんはきょとんとした様子で目を丸くする。あれ……変なこと言ったかな……?


「──もー! このこのー! かわいいこと言ってくれるじゃーん!」


 私がそんなことを考えてると、急にさらちゃんが私のほっぺをぷにぷにと揉みながらそう言った。


「ちょっ、やめてよー!」


「へへーん! かわいいこと言うのがいけないんですー!」


「もー、なら私もしちゃう!」


 さらちゃんがニヤニヤしながら私のほっぺを揉んでくるから、私も仕返ししてやる!


 って、えいな! 何こそっと私のほっぺツンツンしてるの!


 3人ともほっぺをぷにぷにしながら、みんな笑っていた。やっぱり、さらちゃんとはお友達になれるかも……!



 ちなみにこのあと周りからの視線(特に男子から)に気付いた私たちは、みんな同時に「こんなところで何やってるんだ」と冷静になったのでした。


 ◇◆◇


「──で、付き合ってんの?」


「「んぐ……っ!」」


 食堂のおばちゃんに食券を渡し、カレーを受け取った私たちが席についたところで、さらちゃんがいきなりぶっこんだ質問をしてきた。


 急すぎたから、私もえいなもカレーを喉に詰まらせてしまう。


 ごくごくごく……ぷはぁ!


「「付き合ってないからっっっっ!!!!!!!」」


「おーおー、今日1声出てたね」


「「ただの友達!!」」


 ほんとにただの友達だもん! 一緒に夜通話してるだけだし……褒められたら喜ぶだけだし……。


 1年くらい前から寝落ちとかもしちゃうようになっちゃったけど、友達なんだから普通だし……。


 ……うん、いくら思い返しても、やっぱり友達だね!


「ふーん? ま、そういうことにしておこう。それより! おととい会ったって蒼汰くんが言ってたけど、君たちなんで仲いいの?」


 あそっか、みんなから見たら今そういう感じなのか。



 私は2年ほど前からネットで知り合ったことから今に至るまで、大雑把に話した。



 そして、すべて話しおわり──


「付き合ってるの、隠す気無いよね」


「「だーかーら、ちがーーーう!!!」」


 ずっといじってくるさらちゃんに、私とえいなは叫ぶのでした。


 このとき、私たち2人の顔が真っ赤に染まっていたのは、さらちゃん以外知ることはなかったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る