第11話:いざ、GWへ!
「──えー、なので、ゴールデンウィークは目一杯遊んで……あーいや、勉強もしてほしいですけどね? まーその、楽しんでください!」
我らが高崎高校校長の締まらない挨拶で笑いがおきつつ、入学式振りであった全校集会の校長先生のお話が終わった。
次は、生徒会の話に移るみたい。
勉強がだんだんと中学から高校に変わっていく中、時は早いことに、僕たちが入学してからすでに1ヶ月くらい経った。
入学してから1ヶ月──そう、学生の味方、ゴールデンウィークだ!
……まぁ、今年のゴールデンウィークは土、日、月、火の4日間だから、味方というにはちょっと短いかもだけど。
でも! いつもより休めるのには変わりない!
「そーた」
「ん?」
クラスごとに出席番号の早い順で四列縦隊となっているため、僕たちは最前列で祐希、きり、えいな、僕の順で椅子に座っている。
つまり、唯一隣に座っているえいなが僕に話しかけてきたということ。
「そーた、ゴールデンウィークの予定ある?」
「うーん、今のところは無いかなぁ」
「ん、じゃあ……またずっと一緒にゲーム、できるね」
えいなは、やた、と言いながら口元を緩ませ、小さくガッツポーズをする。
最近、リアルでもネットのときくらい気を許した反応をしてくるから、ほんと心臓に悪いんだよなぁ……。
可愛いんだから、なおさらたちが悪い……。
「え、蒼汰まだ予定ないのか?」
すると、祐希くんも会話に入ってきた。
「え、うん。え、煽り?」
「違うわ。それはそうと、暇ならどこでもいいから遊ばね? 一緒に飯食ったときに話したけど、俺も凪もゲーム好きだから、一緒にしたいと思ってたんだよな」
あー! そういえばそんなことも言ってたなぁ。結局、オンラインでもまだ遊んでないなー。
「いつでもいいよー! オフ? オンライン?」
「どうせだしオフにしようぜ。凪んちで」
「凪くんここにいないけど……?」
「あいつんちならいつでも大丈夫だ。あいつ一人暮らしだし」
「それでも多分第三者が言うセリフじゃないよね」
祐希くんは謎に真面目な表情でそう言い切る。
まぁ、そこまで言い切るなら多分、これまでもよく遊んでるしいいんだろうけどさぁ……。
「ハックション!」と後ろから凪くんのくしゃみが聞こえてきながら、僕は2人に話す。
「きりとえいなはどうする? っていうか、そもそも人数増えるのは大丈夫?」
「凪の家が華やかになるだけだし大丈夫だろ」
「てきとー……ま、そういうことらしいけど、どうする?」
僕は、それでいいのか……と思いつつ、2人に聞いてみた。
「うーん……今回はパスでもいい……?」
「ん……わたしも、異性の家はまだちょっと……」
「あー……それもそうだね。じゃ、祐希くん。今回は僕だけ行かせてもらおうかな」
「うーい。じゃ、集会終わったら凪に言っておくか」
あ、そうだった! 話が盛り上がりすぎてて忘れそうだったけど、今全校集会か……。
僕は前方に視線を向けると、ちょうど生徒会長が話を始めようとしているところだった。
そろそろまたお話に集中するかぁ……。
「「──……初めては、そーた(ん)がいい」」
「ンンッ!!」
2人から小声で聞こえてきた言葉に、僕はすぐさま咳払いをした。
そういうのを言うんじゃありません……!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます