第21話:体育祭が始まるよ

 あのあと30分くらい経ってもえいなは目が覚める様子がなかったため、えいなの家を知っているきりに案内してもらって、おんぶをしながら連れて行った。


 えいなのお母さんに「まぁ……!」って言われてから、それの弁明するの大変だったなぁ……。


 そしてゴルデンウィーク最終日。


 この日はもちろん──はい、課題で潰れました。


 2人はちゃんと課題やったのかな、と思いつつ、僕たちの初の長期休み、その最終日を終えた。


 ◇◆◇


 次の日の7時45分。いつも通り僕は高崎公園で2人を待っていた。


「「お"ばよ"ぉ……」」


「……ん?」


 なんか、濁音じゃなくて汚濁音くらい必要な声が聞こえたような……。


 僕が声がした方へ体ごと顔を向けると、そこにはゾンビのような歩き方になっている女子生徒2人がいた。


 多分……たぶんきりとえいなだろう、うん。


「えっと……大丈夫?」


「大丈夫に……見える?」


「見えないなぁ」


「久々に一睡もしなかっただけだから……!」


「『だけだから』じゃないんだよねぇ。もしかして、課題?」


 僕がそう問うと、2人はあからさまにビクッと肩を揺らす。


 うん、図星だね……。


「ま、まぁとりあえず学校行こっか!」


「「ん……」」


 ◇◆◇


 ゴールデンウィーク明けだからといって、特に何か変わることなく授業は進んでいった。


 お昼はだいぶ少なくなってきた殺意の視線を浴びながら3人で一緒に食べ、午後の授業の準備をする。


 ──と、いつもならそのまま準備が始まるのだが、今日は変則的だった。


 キーンコーンカーンコーン──。


「はい、それじゃ早速、体育祭の話始めますよー」


 佐藤先生の言葉で5限目が始まった。


 ──そう、体育祭である。


 高崎高校では、ゴールデンウィークが明けてから2週間ちょっと先の5月24日に体育祭が行われる。


 そのため、明日からの12日間は午後の授業がなくなり、練習に当てられるのだ。


 高校入学後、初めての学校行事……! 運動は好きでも嫌いでも無いけど、ワクワクはしちゃうよね……!


 きりはどちらかというと運動は得意な方らしく、体育祭は苦ではないらしいが、えいなは体を動かすのが苦手なようで……。


「それじゃ、学級委員長の早乙女くん。よろしくね」


「はい」


 爽やかな笑顔を浮かべながら、早乙女くんは教卓に向かった。


 そして息を大きく吸い──。



「お前らああああああ!!! 体育祭だぞおおおおおお!!!」



「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」



 祐希くんを筆頭に、早乙女くんの言葉にのるように声を上げた。


 高校生の体育祭は────戦場なんだから!






《あとがき》


砂糖の供給過多を乗り越え、体育祭編スタートです!

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