さよならさえいえない

悠真

 友達同士としてなら、僕らは最高にうまくいっていたんだ。


「そういう気持ちにはなれない」と僕が打ち明けて、彼女とはそれで終わってしまった。

 自分と別れたことでどこかおかしくなってしまった彼女。

 最後に会ったときの彼女は笑顔で、新しくできた男の話をしていたけれど、どこか無理があった。


「そんな奴、やめておけよ」

 そう言いたかったけれど僕にはそんなことをいう資格はないのかな。

 彼女は、みんなみんな僕のせいにしているのかもしれない。

 かといって、僕が彼女を受け入れていたとしても、たぶん幸せにしてあげられなかった。

 彼女が女性として好きにはなれない僕は、やはりいつか近いうちにどこかでこうなっていたと思う。僕が僕を生きようとしているかぎり。

 

 これだけたくさんの人がいても交わることがなく孤独に落ちていく。

 これは僕という人間の生まれ持った資質なのかもしれないれど。


 さようならという言葉もなく彼女は去っていった。そして、その背中にありがとうと言えない僕がいた。


 どうすれば、僕も彼女もうまくいったのかな。


 今も一人でいる僕は、まだ答えが見つけられないんだよ。




(了)

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