第14話
「えっと……わたし、どうしてここに? あの、あなたは?」
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。僕は王隠寺左京」
「おういんじさん?」
「大仰な名字ですよね。左京と呼んでください」
少し不安が込み上げてきたところに、昨日と同じ優しい微笑みを向けられてほっとした。
「……左京さん。実は、記憶があいまいで……橋の上であなたと会ってからのこと、覚えていないんです」
「そうですか。突然眠ってしまいましたからね。その前に『どこにも帰りたくない』と泣いていたので、ここに連れてきてしまいました」
「わたし、寝ちゃったの……? あ、ここまで運んでくれたんですよね。ご迷惑をおかけしてごめんなさい」
「疲れていたのでしょう。それからぐっすりでした。よく眠れたのならなによりです」
どうやらわたしは彼の腕の中で気絶してしまったらしい。突然家を追い出された衝撃やこれからの生活への不安で、いっぱいいっぱいになっていたのかもしれない。
そういえば、秋野の家や石山さんはどうなったんだろう。わたしは家出扱いになっているのかしら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます