第3話 矛盾:別解
「なあ。最強の武器を作るとなるとどんなものを創造するんだ?」
科学者は創造神がしばらくぶりに戻ってきたのでふと気になっていたことを聞いてみた。
「え? ニンゲンに理解可能なレベルでいえば宇宙爆弾とか?」
「宇宙爆弾?」
「うん。時空間丸ごと燃焼し尽くすんだよ」
「私が悪かった……。どんなものでも貫く最強の槍を作るとしたら?」
そう聞くと創造神は1本の槍をパッと作った。
神の手元が一瞬ピカッと光り、次に瞬間には右手に深紅の槍が握られていた。
「これかな?」
どこ吹く風だが、科学者の目には普通の槍にしか見えない。
「ああ、機能の説明ね。見ただけじゃ分からないんだもんね」
神は悪意無くそう言ってから機能を説明し始めた。
「敵に向かって自動で飛んで行って、貫いて手元に帰って来る。もちろん、時空を切り裂いて飛んでいくから、ノータイムで絶大な威力を発揮するよ」
「そらまたとんでもない機能を持たせたな」
科学者も創造神と話すうちに神の常識は分かってきたつもりではあったが、やはり発想がニンゲンのそれではない。
できるできないの感覚がまるで一致しないのだ。
だが、科学者はここにきてちょっとした意趣返しができる気がした。
「なあ、どんな攻撃も通さない盾を作るとしたらどんな盾になるだろうか?」
「うーん、なかなか難問だね。でもこれじゃないかな?」
創造神の左手が光ったかと思えば、深紅の槍が握られていた。
「それは槍に見えるが、どんな機能を持つ盾なんだ?」
「敵に向かって自動で飛んで行って、貫いて手元に帰って来る。もちろん、時空を切り裂いて飛んでいくから、ノータイムで絶大な威力を発揮するよ」
神のサイコロ 戦徒 常時 @saint-joji
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