サムライ女子はつらいよバンコク：Z世代女子大生の異世界転生物語

第33話 サムライ女子、SNSで大炎上！

第1章：炎上の始まり

「やばっ！今日のインスタ投稿、めっちゃバズってるー！」

瑠奈はスマホの画面をスクロールしながら、満面の笑みで呟いた。最新の投稿は、彼女が先日訪れたタイの伝統的な寺院での写真。カラフルな装飾と神秘的な雰囲気が、フォロワーたちに好評だった。

「いいね」や「可愛い」といったコメントが続々と届き、瑠奈の気分は最高潮。しかし、その喜びは長くは続かなかった。

「ん？これは…」

瑠奈は、コメント欄に紛れ込んだ、不穏なメッセージに気づいた。それは、彼女の寺院での服装を批判する内容だった。

「その格好で寺院に入るのは失礼でしょ」

「文化を理解してない」

「不快に感じる人がいることも考えろ」

最初は数件だった批判コメントが、徐々に増え始め、ついには瑠奈の投稿は炎上状態に。心無い言葉の数々に、瑠奈の心は深く傷ついた。

「うそ…なんで…」

瑠奈はスマホを握りしめ、唇を噛みしめた。彼女の顔色はみるみるうちに蒼白になり、全身が震え始めた。

『瑠奈よ、しっかりするのだ！武士たるもの、このような誹謗中傷に屈してはならぬ！』

頭の中の山田長政が、いつものように熱く語りかけてきた。しかし、今回は瑠奈の心に響かなかった。

「うるさい！長政にはわかんないよ！こんな辛い気持ち…」

瑠奈は涙をこらえながら、スマホの電源を切った。

第2章：長政、武士の名誉にかけて参戦！

瑠奈の異変に気づいた亀次郎が、心配そうに声をかけてきた。

「おいおい、瑠奈ちゃん、どうしたんだい？顔色が悪いぜ」

「う…うぅ…」

瑠奈は亀次郎に、SNSでの炎上騒動を泣きながら説明した。亀次郎は、瑠奈の話を聞きながら、眉をひそめた。

「なんだって！？瑠奈ちゃんが、ネットの輩どもに絡まれたってのかい！？許せねえ！」

亀次郎は江戸っ子気質丸出しで怒り、拳を握りしめた。しかし、彼にできることは限られていた。

『瑠奈よ、悲しむことはない！武士の名誉にかけて、この侮辱は必ず晴らしてくれる！』

長政の力強い声が、瑠奈の頭の中で響き渡った。

「長政さん…」

瑠奈は、藁にもすがる思いで長政に助けを求めた。

長政は瑠奈のスマホを操作し、炎上している投稿に返信を書き始めた。

「不届き者ども！瑠奈殿を侮辱するとは何事か！武士の魂を知らぬ哀れな者どもめ！覚悟せよ！」

長政の返信は、古風な言葉遣い満載で、かえって炎上を加速させる結果に。

「ちょ…長政さん、何やってんのよ！」

瑠奈は慌ててスマホを取り返そうとしたが、時すでに遅し。長政の返信は瞬く間に拡散され、コメント欄は大混乱に陥っていた。

第3章：亀次郎、ダジャレで場を和ませようとするも…

「こりゃ大変なことになったなぁ…」

亀次郎は、状況を把握し、頭を抱えた。

「瑠奈ちゃん、大丈夫かい？俺がなんとかしてやるぜ！」

亀次郎は、得意のダジャレで場を和ませようと試みた。

「なぁなぁ、みんな、落ち着いてくれよ！こんな時こそ、笑おうぜ！ほら、**"炎上"って言うけどさ、"笑顔"**に変えちゃえばいいんだよ！…って、あれ？誰も笑ってない？」

亀次郎のダジャレは空振りに終わり、コメント欄の炎はさらに激しく燃え上がった。

「つまんねえダジャレで火に油注ぐなよ」

「昭和のおっさんが何言ってんの」

「時代錯誤もいい加減にしろ」

第4章：瑠奈、SNS断食を決意

「もうダメだ…」

瑠奈は、精神的に限界を迎えていた。心無い言葉の暴力に、彼女は完全に打ちのめされていた。

「長政さん…亀次郎さん…ごめんなさい…」

瑠奈は、二人に謝りながら、スマホを机の上に置いた。

「SNS…もうやめる…」

瑠奈は、SNS断食を決意した。

長政は、瑠奈の決断を静かに受け止めた。

『瑠奈よ、よく決断した。SNSの世界は、時に魑魅魍魎が跋扈する戦場と化す。今は心を休ませ、真の強さを養う時じゃ。』

亀次郎は、瑠奈の背中を優しく叩いた。

「瑠奈ちゃん、辛い時は、いつでも頼ってくれよな。俺がそばにいるぜ」

瑠奈は、二人の言葉に励まされ、少しだけ気持ちが楽になった。

エピローグ

瑠奈は、SNSから距離を置き、現実の世界に目を向けるようになった。彼女は、家族や友人との時間を大切にし、自分の好きなことに打ち込むことで、徐々に心の傷を癒していった。

そして、数ヶ月後、瑠奈は、再びSNSの世界に戻ってきた。しかし、以前のように承認欲求に駆られることはなく、自分のペースで、ありのままの姿を発信することを決意した。

長政は、瑠奈の成長を心から喜んだ。

『瑠奈よ、お主は真の侍になった！己の信念を貫き、力強く生きるのだ！』

亀次郎は、瑠奈の復帰を祝し、得意のダジャレを披露した。

「瑠奈ちゃん、おかえり！SNSの世界は、まるで**"迷路"みたいだけどさ、瑠奈ちゃんなら、きっと"輝ける"**未来を見つけられるよ！」

瑠奈は、二人の温かい言葉に包まれ、笑顔で未来に向かって歩き始めた。