第21話 ハロウィンパーティーで起きた不憫かわいい事件
舞台は、欧米系旅行者で賑わいハロウィンイベントで大盛り上がりのカオサン通り。ハロウィン当日、本能寺瑠奈は、友人であり、いつも一緒にふざけ合う仲良しレディーボーイのソム、そして、ひょんなことから瑠奈の頭の中に住み着いている戦国武将・山田長政と共に、カオサン通りでのハロウィンパーティーに参加することになった。
瑠奈は、人気だとされるキャラクター系の仮装、可愛くてセクシーなナースの仮装で張り切っていた。一方、ソムは、定番である恐ろしいゾンビの仮装で、リアルな特殊メイクを施し、気合十分!
瑠奈:「ソム、今日のゾンビメイク、めっちゃリアルで怖いよ!でも、その傷跡、ちょっと痒そうじゃない?大丈夫?」
ソム:「大丈夫よ!これ、特殊メイクだから!でも、今日の瑠奈も可愛いわ!ナースの仮装、すごく似合ってる!」
瑠奈の頭の中の山田長政は、現代のハロウィンの習慣に戸惑いながらも、瑠奈のナース姿に、少しだけ心を揺さぶられていた。
長政:「瑠奈よ…その格好は…なんじゃ?わしの時代には、そのような…露出の多い格好をする女性は…おらんかったぞ…」
瑠奈:「長政さん、うるさい!今は令和時代なんだから!それに、ハロウィンは、仮装して楽しむイベントなんだよ!」
カオサン通りは、仮装した人々で溢れかえり、異様な熱気に包まれていた。瑠奈とソムは、人混みをかき分けながら、屋台でビールを片手に、ハロウィンムードを楽しんでいた。
瑠奈:「ソム、このカクテル、めっちゃ可愛い!ハロウィン限定だって!」
ソム:「本当だ!瑠奈、写真撮るよ!はい、チーズ!」
瑠奈は、可愛らしいハロウィンモチーフのカクテルを手に、笑顔でポーズを決めた。瑠奈が、SNSに写真をアップしようとスマホを操作しているその時、事件は起きた。
人混みから、酔っ払った外国人男性が、勢いよく瑠奈にぶつかってきたのだ!
瑠奈:「うわっ!」
男性が持っていたビールが、瑠奈のナース服に思いっきりかかってしまった!
瑠奈:「ええっ!?私のナース服が…台無し…!」
せっかくの可愛いナース服は、ビールまみれになってしまった。
ソム:「ちょっと!何するのよ!瑠奈の服が汚れたじゃない!」
ソムは、怒って男性に詰め寄った。しかし、酔っ払った男性は、ソムの言葉が理解できない様子で、悪びれる様子もなく、その場を立ち去ろうとした。
ソムは、怒りが頂点に達し、思わず男性の腕を掴んで引き止めた。
ソム:「ちょっと!謝りなさいよ!」
しかし、その瞬間、さらに悲劇が起きた!
ソムの特殊メイクの傷跡が、男性の腕にべったりと付いてしまったのだ!
ソム:「ええっ!?私のゾンビメイクが…!」
男性は、腕に付いた血のような特殊メイクを見て、悲鳴を上げた!
男性:「うわあああ!血だ!血が出てる!」
周りの人々は、男性の悲鳴を聞いて、一斉にソムの方を見た。
群衆:「ゾンビだ!ゾンビが襲ってる!」
人々はパニックになり、逃げ惑い始めた。
ソム:「違う!違うの!これは特殊メイクなのよ!」
ソムは必死に説明しようとしたが、誰も彼女の言葉を聞いてくれなかった。
瑠奈:「どうしよう、ソム!みんな、怖がってるよ!」
瑠奈も、ビールまみれのナース服で、オロオロするばかり。
長政:「瑠奈よ、落ち着くのじゃ!わしが、この混乱を収めてみせる!」
瑠奈の頭の中の山田長政は、事態を収拾しようと、瑠奈の体を操ろうとした!
長政の魂が乗り移った瑠奈は、人混みをかき分け、混乱の中心にいるソムの元へと駆けつけた。そして、周りの人々に聞こえるように、大声で叫んだ!
瑠奈:「皆の者、落ち着くのじゃ!このゾンビは、我らの仲間じゃ!」
しかし、瑠奈の言葉は、さらに混乱を招く結果となってしまった!
群衆:「ゾンビの仲間!?こいつら、グルだったのか!」
人々は、瑠奈とソムをゾンビの仲間だと勘違いし、さらに恐怖に駆られた!
ソム:「ちょ、ちょっと!瑠奈!何言ってるのよ!?」
瑠奈:「ええっ!?長政さん、私の体が勝手に…!」
長政:「むむ…わしの言葉が、この時代では通じぬとは…!」
瑠奈とソムは、群衆に追いかけ回され、カオサン通りの路地裏へと逃げ込んだ。
瑠奈:「ハァ…ハァ…なんとか逃げ切れた…」
ソム:「瑠奈、あんた、一体何を考えてんのよ!?」
瑠奈:「ごめん、ソム!私の頭の中の、長政さんが…!」
長政:「わしの失態じゃ…面目ない…」
瑠奈とソムは、疲れ果てて、路地裏に座り込んだ。
瑠奈:「もう…最悪…」
ソム:「でも、瑠奈、今のあんた、ちょっと面白かったわよ!ゾンビの仲間って…プププ…」
瑠奈:「もう!笑わないでよ!恥ずかしいんだから!」
瑠奈は、ビールまみれのナース服で、真っ赤な顔をしていた。
長政:「瑠奈よ…わしは、お主の純粋な心に免じて、今回の失態を許そう。しかし、今後は、もっと慎重に行動するようにな…」
瑠奈:「長政さん、もういいよ!もう、何も聞きたくない!」
瑠奈は、頭の中の山田長政の声を完全にシャットアウトした。
瑠奈:「ソム、もう一回、屋台に行こうよ!今度は、ビールじゃなくて、ジュースにする!」
ソム:「うん!行こう!せっかくのハロウィンだし、楽しまなきゃ損よ!」
瑠奈とソムは、顔を見合わせて笑い合った。
不憫な出来事もあったけど、二人にとっては、忘れられないハロウィンの夜となった。
その夜、瑠奈の頭の中の山田長政は、一人反省会を開いていた。
長政:「わしは…現代の文化を、もっと理解せねばならぬようじゃ…ハロウィンとは…奥の深い祭りよのう…」
長政は、現代のハロウィンについて、もっと勉強しようと心に決めた。
こうして、瑠奈とソム、そして頭の中の山田長政の、ちょっと変わったハロウィンは、幕を閉じた。
瑠奈は、これからも、様々な不憫な出来事に遭遇するだろう。しかし、彼女には、それを笑い飛ばせる強さと、周りの人を笑顔にできる不思議な魅力がある。そして、山田長政は、瑠奈の頭の中で、時に厳しく、時に優しく、瑠奈を見守り続けるだろう。
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