第19話 おならパワー炸裂!瑠奈、タイ日友好相撲大会でまさかの優勝!?

ソイのフェスティバル会場は、屋台やゲームコーナー、そして特設の土俵が設置され、多くの人で賑わっていた。 瑠奈、亀次郎、ソム、そして瑠奈の大学の友人たちは、タイ日友好相撲大会に参加するために集まっていた。

「瑠奈、本当に相撲に出るの? 大丈夫?」

ソムは心配そうに瑠奈に尋ねた。 瑠奈は、少し不安そうな表情を浮かべながらも、力強く答えた。

「うん! やってみる! 最近、運動不足だしね。それに、みんなも応援してくれてるし!」

瑠奈の頭の中には、いつも戦国武将・山田長政の魂が宿っていた。 長政は、瑠奈が新しいことに挑戦する度に、心の中で熱いエールを送っていた。

「瑠奈よ! 武士たるもの、常に挑戦を恐れてはならぬ! 相撲は日本の国技! 全力でぶつかっていくのじゃ!」

長政の力強い声が、瑠奈の闘志に火をつけた。 瑠奈は、周りの友人たちに笑顔を見せた。

「大丈夫! 私、意外と強いんだから!」

しかし、瑠奈には、一つ大きな弱点があった。それは、緊張するとおならが出てしまうことだ。 これは、象使い体験の時にも露呈した、瑠奈の悩みの種だった。

「瑠奈、大丈夫? 顔色が悪いわよ」

美咲が心配そうに瑠奈に声をかけた。瑠奈は、深呼吸をして、笑顔を作った。

「大丈夫! …たぶん」

予選、開始!

タイ日友好相撲大会は、日本人居住者とタイ人参加者が入り混じった、国際色豊かな大会だった。 瑠奈の友人たちは、次々とタイ人の屈強な参加者に敗れていった。

「うわぁ… 強すぎ…」

「やっぱり、ムエタイの国の 人たちは違うなぁ…」

友人たちは、悔しさをにじませながらも、瑠奈を応援した。

いよいよ瑠奈の番がやってきた。対戦相手は、ムエタイ経験もある屈強なタイ人男性だった。瑠奈は、土俵に上がると、大きく深呼吸をした。

「長政、お願い!力を貸して!」

瑠奈は、心の中で長政に祈った。 その瞬間、瑠奈の頭の中に、長政の武術の記憶が流れ込んできた。

瑠奈の動きが変わった。 まるで、長政が乗り移ったかのように、機敏で力強い動きを見せるようになった。 瑠奈は、相手の攻撃を軽々と受け流し、一瞬の隙をついて、見事な投げ技を決めた。

「うわぁー!」

「すごい! 瑠奈、勝った!」

周りの観客たちは、瑠奈の勝利に驚きの声を上げた。 瑠奈自身も、自分の勝利に信じられないといった表情を浮かべていた。

「やった… 勝てた…」

決勝戦!相手は猫騙しの達人、光太郎!

予選を勝ち抜いた瑠奈は、ついに決勝戦へと駒を進めた。決勝戦の相手は、毎年 この大会で優勝しているという、猫騙しの達人・光太郎だった。 光太郎はスキンヘッドで威圧感のある風貌をしていた。

「決勝戦の相手は、手強いぞ! 気を引き締めていくのじゃ!」

長政の声が、瑠奈の頭の中で響いた。

「でも、光太郎さんって… 日本人だよね?」

瑠奈は、少し戸惑いを感じていた。

決勝戦が始まった。光太郎は、その名の通り、猫のように素早い動きで瑠奈を翻弄した。 さらに、光太郎のスキンヘッドが、土俵の照明に反射して、瑠奈の目を眩ませた。

「うわぁ… まぶし…」

瑠奈は、土俵際まで追い込まれてしまった。

「瑠奈、頑張れー!」

「負けるなー!」

友人たちの声援が、瑠奈に力を与えた。瑠奈は、踏ん張って、光太郎の攻撃を耐えようとした。

しかし、その時!

「プッ…!」

瑠奈は、極度の緊張から、大きなおならをしてしまったのだ。

「え…!? うわぁ…」

瑠奈は、恥ずかしさで顔が真っ赤になった。土俵周辺の観客からは、クスクスと笑い声が聞こえてきた。

その、瑠奈のおならの音に驚いた光太郎は、思わずバランスを崩し、土俵の外へと踏み出してしまった!

「えぇーっ!?」

「光太郎、土俵の外! 瑠奈の勝ち!」

行司の判定が下った。瑠奈は、まさかの逆転勝利で、タイ日友好相撲大会の優勝者となってしまったのだ。

「え…? 私… 優勝…?」

瑠奈は、信じられないといった表情で、周りの観客たちを見渡した。観客たちは、驚きと笑いを交えた表情で、瑠奈に拍手を送っていた。

不憫かわいい優勝者、誕生!

瑠奈は、おならをしてしまい、その結果として優勝してしまったという、まさに「不憫かわいい」エピソードを、また一つ追加することになった。

翌日、タイ日友好相撲大会の様子を撮影した動画が、SNSやYouTubeで拡散された。 瑠奈の姿は、瞬く間にタイ国内で話題となり、「不憫かわいい優勝者」として、一躍有名人になってしまった。

「瑠奈、すごいじゃん! 有名人になっちゃったね!」

「サインちょうだい!」

友人たちは、瑠奈を冷やかした。瑠奈は、恥ずかしさと嬉しさが入り混じった複雑な表情を浮かべていた。

その夜、瑠奈は、いつものように、心の中で長政に話しかけた。

「長政、聞いてる? 私、優勝しちゃったよ…」

「うむ… 見事じゃ、瑠奈! お主は、わしの誇りじゃ! …しかし、その勝利の方法は、少々武士道に反するような気もするが…」

長政の声は、少し複雑そうだった。 瑠奈は、苦笑しながら答えた。

「うん… ごめんね、長政…」

瑠奈は、これからも、様々な「不憫かわいい」エピソードを積み重ねながら、タイでの生活を楽しんでいくことだろう。 そして、その傍らには、いつも長政の魂が寄り添っているのだ。

注釈:

光太郎という人物は、今回の創作のために追加されたキャラクターであり、情報源には登場しません。

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