第8話 認めないほうが敗北必至 (4/6)

「あ、エルフさんって、アイスランドから旅した、アーリアみたいな容姿の人のこと?」


〝エルフじゃないの!? 〟

〝その長耳で!? 〟

〝アイスランドって、どこだっけ? 〟


〝北欧の島国だ。エルフ民話発祥の地の一つだな〟

〝あそこエルフの専門学校や、法律まであるところだよな? 〟


〝岩を埋めたら、エルフに呪われたなんて話もありますね(民俗学ガチ勢)〟


〝おうぅ……やはり本格派〟

〝でもさっきから、耳ヒクヒク動いてね? 〟


「そういう定義なら、アーリアはエルフさんだよ。アイスランドには400年くらいかな? 居たし」


「よ、400年? アーリアはどこから来たの?」


「どこからって……日本に来る前は、フィンランドとか、イギリスの田舎からダンジョン潜ってたよ?」


「ん〜……ならお前、どこ出身なんだ?」


「ランカー島だよ」


〝今度はどこだ? 〟

〝wikiで調べたら、セイロン島の昔の呼び名みたい……? 〟


〝でもこれ、伝説みたいに昔の呼び名っつーか……? 〟

〝有力説でしかねーみてえだな。つかスリランカの元ネタか〟


〝じゃあ全然別の島なのか……? 〟


〝あー……顔立ち自身は目が大きいし、確かにオリエンタルだ。雪みたいだから北欧人っぽくも見えるけどw〟


〝なんにせよ美人www〟


「そうだね、2、3年に1回はママとパパの所に里帰りしてるよ。褒められた。あり……助かるよ」


「織田君は、どこの出身でしょうか?」


「僕は新潟出身で、施設育ちですね。こっち受験して来た形です」


〝ああ、ダンジョンの新選抜組なんだっけか〟

〝新潟にも専門学校できたんだっけ〟


〝わりとイケメンwww〟

〝新潟美人ってやつかwww〟

〝スキー行ける? 〟


「ある程度はスキーできますね。中学時代、冬場はリゾートでバイトしてたので」


〝山のほう出身か、迷宮専門学校もあるしな〟

〝かなり訓練するって聞くもんなwww〟

〝基本叩き込む場所だからな(先輩並み感)www〟


〝はい! アーリアちゃんは、TDD好きなんですか!? 〟


「だーいすきだよ!! みんなも好き!?」


〝やってます! 〟

〝やってたな〟


〝この前ガチャ当たりました! 〟

〝御尊像さま! ありがとうございます! 〟

〝おかげでガチャ当たりました! 〟


「ご、御尊像なんて恐れ多いよぉ……?」


「家は何度か案件貰った事ありますね」


「ああ、第一章は案件許可貰ったし、俺今度公式生に呼ばれてるわ」


〝マジッスか総長!? 〟

〝おめでとうございます!! 〟


〝そりゃトップの1人だもん呼ばれるよなwww〟

〝あそこ、場合によっちゃモチーフで、コラボアイテムとか気合い入ったの作るしw〟


〝総長だと、魔狼系ッスか!? 〟

〝モンスター側だったりしてwww 〟


〝草〟

〝大草原不可避www〟

〝wwwwwwww〟


「誰がモンスターだ、クソ舎弟ども!?」


「本当に!? バクティちゃんと、ダイアン君の声優さんも来るアレ!?」


「お、おう。そうだぞ、来るぞ。何ならサイン貰ってきてやろうか?」


「…………かみさま?」


「やめろ、気持ち悪い!?」


「あ、僕もできれば……特にズルカルナインの敏行さんの……」


「私もアニメのファンなんで。よろしく」


「お前ら揃いも揃ってパシるのかよ!? いや機会ねえからしゃーねーけどよ」


〝流石俺達の総長www〟

〝相変わらずの苦労人www〟

〝ファンサービスを欠かさないwww〟


〝不良の鏡www〟

〝はい! アーリアちゃんは、日本に来てどれくらいなんですか!? 〟


「戦後5、6年後くらいだったかな……こっちのダンジョンあんまり潜った事無かったし。でも来た当初は大変で、人助けばっかりしてたね」


〝ああ、うん……〟

〝そっか。そりゃその頃くれば、そうなるよな〟


「それで、キミ子さんに養子にして貰ったの。国籍もちゃんとあるし、ヨーガ教室で働いてるよ」


「そういえば、アーリアはどうして日本に来たの?」


「日本のご飯……美味しいから……!」


〝わかる〟

〝わかる〟

〝1000%納得しか無い〟

〝わかりみしかねえ!! 〟


〝日本人の食に対する執着は異常w〟

〝言葉や魂ですら無く、習性で理解した〟

〝そっかぁ「日本食」キメちゃったかぁ……〟


「特に出汁。アレがたった1300年前にはもうあったって、本当?」


〝そうなん? 〟

〝だいたいあってる〟

〝海外に配布すると、消えるって聞くしな……〟

〝昔番組で配ったら、真っ先に無くなったな〟


「正直、魔法より魔法してない?」


〝お、おう〟

〝俺らはみんな、魔法使いだった……? 〟

〝いや職人だろ、職人って魔法使いだったんだな〟


〝一般人からすると、マジでそうかもな〟

〝神秘って結構身近にあったんだな〟


「アーリアさんは、どの程度魔法ができるのでしょうか?」


「ん〜……機械ができる事はおおよそできるって程度の腕前かな。でも一流の魔法使いはそれ以上だし、アーリアはあくまで、戦闘と生活に便利な魔法を、アイスランドで覚え始めただけ、だから……」


〝魔法って本当にあるん? 〟

〝先々代からして、魔法っぽいもん使うゴブリン叩っ斬っては来たからなぁ(古参舎弟並感)〟


〝いやねーだろ、フェイクだろ、そんなもん? 〟


〝京都始め拝み屋がねえわけじゃねえしなw〟

〝でも、使える奴がきっと極端に少ないんじゃ無いかと〟


〝そもそも日本のって、見破ったり守ったりはともかく、攻撃のイメージあんま無い〟


〝総長殿のタフさは間違いなく魔法(確信)〟

〝最後、三日三晩魔狼と殴り合いして、勝つんだもんな……〟


「アーリアさんはゴールドライセンス持ちですね」


「そうだよ、ほら」


〝うお、女性で持ってんの初めてみた〟

〝佐久間プロの現役時代と同じか〟


〝確か、マルチリンガル以上で、インド圏含めた3ヶ国以上のダンジョン探索実績無いと、貰えないんだっけ? 〟


〝せやで、宇宙飛行士やプロ野球選手より、難しいって言われる資格やなw〟


〝インドかぁ……〟

〝インド帰りなら納得だな〟

〝インド圏ダンジョン、マジ魔境だもんなwww〟


〝アーリアちゃん、その若さで持ってんの……? 〟


「アーリア、だいたい2000歳だよ?」


 アーリアの一言に、当初コメントはどっといて、彼女の年齢発言を真に受けなかった。


 しかし(民俗学・考古学・迷宮学ガチ勢)と追記された相当難度の高い、赤スパ質問コメントに、彼女がスラスラ淀み一つ無く注釈付きで答え始めると、彼らは真に受けるしか無くなって行く。


〝よし。もうある程度はっきり書きましょう。受け答えから推察するに、アーリアさんは相当な民俗学・考古学・近代迷宮学の知識をお持ちなだけか。本物……の、どちらかですね〟


〝マジで? 赤スパの偉い人たち……? 〟


〝絶妙に考古学的、民俗学的、迷宮学的質問にも的確に、かつ、現地に行って長年研究した者にしか分からないことを、このお若さでここまで具体的に言えるのは、正直、その知識量だけで……〟


〝な、なる……〟

〝違和感から特定って事かwww〟


〝逆説的に考えればって事やなwww〟

〝マジなのか〟


〝少なくとも、ガチもんのエルフ相当の知識はあるってことか〟

〝どっちにしろ知識は限りなく、実質エルフか〟


〝コスだとしても、ここまでやられたらもう認めねえほうが負けだなwww〟


〝ひょえー……〟

〝裏付けねえとは言え、動画拡散して、学者様方が大半認めるなら、もう納得するしかねえwww〟


「本当に、エルフなんだ。アリーア……?」


「人間さんがアーリアたちをエルフさんって、昔に呼び始めただけだけどね?」


「おっと、雑談も盛り上がって参りましたが、残念ながらお時間になりましたので、訓練場に移動したいと思います」


 スタッフから時間の指示出しが出た。佐久間プロに促されて、ドアを開けて彼らは訓練場へと移動して行った。

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