第2話 失敗

 都会の朝は地獄だ。

 人が多すぎる。

 だから私は、普段は1番混む時間よりも少し早い時間に通学してるんだけど…。


 今日は失敗した。


 なので今日の私は激込みの電車内のドア際にいる。

 その理由は小学校からの友達、室屋むろや 由乃ゆのが寝坊したから。


 寝坊したなら先に行けばよかったのかもしれない。

 でも遅刻する時間じゃないから、少しぐらいなら待とうと思って待ってた。


 ただ問題は、せっかく待ってたのに由乃から「間に合わないから先に乗ってて!」とメッセージを送られてきた。

 だから今、私は1人で人波に押しつぶされそうになってる。



 やっぱり、先に行けば良かった。



 それにいつもの時間の電車じゃないから、もいないし。



 ため息がこぼれそうになる。




 混雑する車内にアナウンスが響く。

 次は乗り換えの駅。


 この駅は人の移動が凄い。

 でも、乗り換えたら先は人が減る。


 電車が速度を落としながら駅に入っていく。

 扉が開いたらすぐに出て、私の前に人がいないうちに急いで人ごみから逃げよう。


 電車が完全に止まって、扉が開く。

 私は急いで電車から降りる。



 その瞬間「泥棒!!」という声が響いた。



 それと同時に私は体に強い衝撃を感じると共に前へ倒れる。



 次に聞こえてくるのは沢山の足音。



 立ち上がろうとするけれど、沢山の人の足が目の前を横切る。

 考えなしで動けば蹴られたり踏まれたりしそう。



 そう思うと私は動けなかった。



 1~2分も待てば人は居なくなるはず。

 でも、時間が経つのが長く感じた。




 そのとき「大丈夫?どこか痛いところはない?立てる?」と声をかけられた。



 前を見るとが。



 私が普段乗る電車で見かける男の人がいた。

 

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