血濡れた夢の意味

Remi

第1話 血濡れた夢

 静かな空間に血の滴る音が響く。


 周りを見渡せば血の海ができている。


 鼻を突くのはむせ返るほどの生臭い血の匂い。


 おかしくなっちゃいそう。


「大丈夫?どこか痛いところはない?立てる?」


 服に血がついている男が私に手を差し伸べながらそう言った。


 聞いたことない声、知らない相手。


 フードを被ってて顔は見えない。


 でも私はその手を取ろうとする。




 そのとき、世界は暗転する。




~~~




 私は目を開ける。

 目に映るのは見慣れた天井、見慣れた部屋。


 また、あの夢を見た。

 流石に慣れたけど、あの生々しさはやっぱり辛い。

 夢の中のはずなのに、まだ手に血の感覚や鼻に血の匂いが残ってる気がする。


 でも、文句を言っても仕方ない。

 私は充電してあるスマホを手に取って、時間を確認する。


 午前6時すぎ。


 これ以上寝ているといつも乗っている電車に乗れなくなる。

 「起きなきゃ…」と呟きながら私はベッドから起き上がる。


 そして、学校に行く準備をするために部屋を出て洗面所に向かう。


 私、夢宮ゆめみや 実来みくは小さい頃から同じ「血濡れた夢」を見る。

 最初に見たときは怖すぎて朝までお母さんに寝ないってごねたっけ。


 それ以降、何度も見るようになった。

 色んなお医者さんや専門家のところに行った。


 「前世の死に際の記憶」と言う人もいれば「ストレスによる症状」と言う人もいた。


 でも結局、何もわからなかった。


 それでも夢は変わらず、前兆無く見る。


 でも、もう私も高校1年生。

 流石に「また見たよ…」という感想しか出ない。


 洗面所に映る私の顔はいつも通り。



 今日も、いつも通りの日が始まる。

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