かもめと海

鈴音

かもめ

 海に来た。町外れの小さな湾口

 テトラに波が打ちつく音と 海の男たちが振るう竿の音。静かな海の音

 どこまでも遠く 継ぎ目なく空と海の青は繋がって

 ときどき飛沫をあげる波のように滑る雲の中をかもめが飛んでいた

 かれらの濁った目には何がうつるのだろう

 わたしたちはかもめに自由を見る 海と空の果てまで飛んでほしいから

 だけどかれらには わたしたちの思いなんて関係ない こんなものは ただの想像でしかない

 だけど願わずには 祈らずにはいられない

 かれらの翼に思いを託して 勝手に増えた重荷を背負って かれらはまた飛んでいくのだ

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かもめと海 鈴音 @mesolem

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