第4話 ゴブリン狩りとトラブル再び
「うぉぉぉぉぉ!!!待てぇぇぇぇぇ!!」
「gdwdptdtgdtg!!!?」
森に響く絶叫。狂気的な笑いをこぼしながら追いかける
ミリオネとファンティアからクランに誘って貰って1週間。この辺りの冒険者なら一度は目撃した光景である。
タクトは追放されてからずっと依頼を受けており、お金を稼ぐために奔走している。時には採取、時には討伐。ソロならではの利点をフル活用し、毎日のようにどこかで誰かの役に立っている…はずである。
そんな取り憑かれたように依頼をこなす彼の姿が何度も目撃され、最近は街でも噂になっている。
そして当の本人はそれに気付いていない。
…否、気付いていないフリをしている。
タクトもパーティを組みたいとは思っているのである。しかし、どちらかと言えば悪い方で噂になっている彼と組みたいと思う者など居らず(常に元パーティメンバーから追跡それていることから目を背けつつ)、その事実に向き合わないように再びソロで依頼を受ける。そしてまた噂が広がる。
さて、今回はそんな彼の一日に密着してみよう。彼が何を思ってどんな行動をするのか、世界のパーティリア充の皆にご覧いただこう。
…うん、導入はこんな感じだな。生活が落ち着いたら小説にでもしてやろうかな。でもなんだろう、既にこんな小説が存在しているような気がしている。
改めて、俺は今討伐依頼を受けています。
えぇ、いつも通りですよ。誰もパーティ組んでくれないからね。泣きたい。
いや良いんですよ?無理だったらミリオネさん達のクランにお邪魔しようかと思ってるんで。
でもさぁ…せっかくだからリーダーとしての経験とかしてみたいじゃん?リーダーをやったからこその景色とかも有るわけだし、その経験が有るのと無いのとではその差は大きいと思う訳。どうよ?
……うんうん。皆分かってくれてるみたいだね(?)
まぁそれは置いておいて、本日の依頼はこちら!!
【討伐】ゴブリンをいっぱい倒そう〜。
はい。皆大嫌いゴブリンですね。ゴブリンはなぁ…数が多いんだよな。しかも臭いがキツイとかで、あんまり依頼を受ける人が居ないという…。
まぁ俺はそこまで嫌いじゃ無いですけどね。だからソロで受けてるんだし。
そんなことを考えながら歩いていると、ゴブリンの群れを見つけた。数は6匹、そこまで大変でもない。
「よ〜し、やるか〜。」
俺は魔力を身体に巡らせると、一気に活性化させる。すると、身体がどんどん軽くなって行くような感覚がくる。
これが身体強化。冒険者の基本であり、これがあるからこそ強力な魔物とも戦うことが出来ている。
強化を確かめるためにその場でぴょんぴょんと跳ねて準備運動をした後、足にぐっと力を込める。
そして地面を強く蹴れば─
「dgmdntpmwnw!?」
「遅いっ!!」
「adpdwpmtw!!!」
俺は一番近いゴブリンに一瞬で飛来し、その身体を思い切り蹴った。
蹴られたゴブリンは何が起こったのか分からないまま木に叩き付けられたことだろう。
しばらくポカンとしていたゴブリン達であったが、すぐに俺が敵だと認識して襲いかかってきた。
俺は腰からナイフを取り出し、構える。
少しの睨み合いの後、ゴブリンが動こうとした瞬間を狙って地を蹴る。
突然目の前に出てきた俺に驚いているゴブリンの顔を見ながら、俺はナイフを胸に突き立てた。
「jtmgwdwtm!!!!!」
「悪いな。」
「ge……atjdgdmdwdwg!!!!!」
ナイフで突き殺された仲間を見て、ゴブリン達が一斉に逃げ出した。ヨタヨタ走る姿は子供の様だが、奴らは魔物。罪悪感で逃がしたらとんでもないことになるかもしれない。
これで逃がして強くなったとか言われたら本当に笑えない。
地面を蹴って後を追った。
すぐに背中が見え、一匹を蹴り飛ばす。その勢いのままナイフを投げ、他のゴブリンの頭に命中させる。
残り一匹には魔法を使うことにした。単調じゃつまらないからね。
「
魔力を手に集中させると、手から炎の槍が顕現した。ファイアランス、その名の通り炎の槍であり、その温度は岩にも穴を開けるほどである。
それを振り被り、思い切り投擲する。
ブォンという炎の音と、キュインという風を切り裂く音が合わさりながらゴブリンに飛来し、着弾する。
ドォォォォォォォォォォォォォン!!!
その槍はゴブリンの身体に穴を開け、着弾の衝撃で大爆発を引き起こした。
これで6匹討伐だ。討伐証明部位を切り取るの面倒くさいんだよなぁ…。
ゴブリンは倒すのが楽で良いけど、もうちょっと強い敵と戦いたい気持ちもあるんだよなぁ。まぁパーティが居ない俺には無理な話だな。
ゴブリンは耳が証明部位だ。なのでそれを切り取っていると、森の中から女性の悲鳴が聞こえたような気がした。
流石に気のせいだと思いたいが、これが人間だった場合強力な魔物が現れているのかもしれない。
ゴブリンの耳を袋に仕舞うと森に向かって走り始めた。
◆
「さて…多分ここら辺なんだけど…。」
なんか魔力が濃い様な気がする。このまま溜まっていったら瘴気に成りかねないぞ。
まぁ今はそんなことを考えていても仕方がない。これだけ魔力が溜まっていると探知魔法も使えないな…。
この状況…ここは力技に限る。
「すぅ…誰か居ますかぁぁぁぁぁ!!!!」
力技、それは大声で叫ぶことである。
何を言っているのか分からないと思うが、冒険者にとって森で叫ぶというのは命取りになりかねない。なぜなら、大声を出すということは自分の居場所をバラすことに違い無く、その声に引き寄せられて魔物が集まってくる可能性があるからだ。
しかし、今の状況ならばむしろ都合が良い。魔物は魔力が濃い場所には近づかない。そして、恐らく魔物に襲われた女性が森の外でも気づくほどの悲鳴を既に上げてしまっている。
今頃魔物が女性に向かって集まっているはずだ。
だからこそ大声を出す。魔物をこちらに引き寄せて、出来るだけ生存率を上げることが出来るのだ。
その証拠にしばらく待つと、魔物が森の奥から現れた。しかもぞろぞろと。
つまり女性は森の奥に逃げてしまったということであり、より強力な魔物と遭遇していてもおかしくはない。
何より、あの悲鳴から少し時間が経ってしまっている。既に亡くなっている可能性すらある。早く助けに行かねば。
そう考えた俺は魔法を発動し、周りの魔物達を減らすことにした。使うのは範囲攻撃の魔法。
「
そう唱えると、胸の高さに全方向に向けた石の礫が出現する。それに出来るだけの魔力を注ぎ込み、硬度を上げる。
ここで魔法を使用する理由は2つ。
1つ目は魔法の方が殲滅戦において有効であること。
2つ目はこの濃すぎる魔力溜まりを解消するため、魔法には周りの魔力を使用して威力を上げる物がある。特に硬さが大事な魔法はその特性が顕著である。ストーングラベルは多量の石を出現させ殲滅に向いており、さらにその1つ1つが魔力によって硬度を上げる性質を持っている。
現状使う魔法では一番の適任だと言って良いだろう。
「喰らえ。」
そして魔力が無くなったことで俺に群がろうとする魔物達に向かって放つ。
ストーングラベルは通常命中率がかなり低い魔法である。全方向に発射するため、囲まれていないと使えない。
だが、大量の魔物達。そして俺という1点を目指す魔物達は自然と間の隙間を埋め、やがてストーングラベルの命中率は100になる。
肉を裂き、目を抉り、身体に穴を空ける。
まさにその光景は蹂躙であった。
「さて、急ぐか。」
その攻撃を行った者は、それが当然かの様に森の奥へと足を踏み入れていた。
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どうも、ゆーれいです!!
更新だぞ!やったね!
てことで今回は戦闘回でしたねぇ。やっぱ戦闘シーンは書いてて楽しいんですよ。
ただ、戦闘シーンだけ第三者視点になってるのが違和感にならないかどうか…。
気にならないなら良いんですけど、もし違和感があるなら統一するように心掛けます!
あ、皆さんギャグとは…って思ってますね。大丈夫、僕も思ってます。任せて、きっとギャグに戻してみせますから!
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それではまた
俺を追放したパーティがずっと後ろから見守ってくるんだが…〜必死に誤魔化してるけど見てるの気付いてますよ!?〜 ゆーれい @unknown0325
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