第3話 俺、また何かやっちゃいました?(震)
「お兄さん良い身体してんねー」
【急募】この状況を打破するには?
なぜこんなことになっているのか、きっと誰も分かっていないだろう。俺だって分かっていないんだから。もし分かった天才がいるなら教えてほしい。
俺、また何かやっちゃいました?(震)
さて、現実逃避はそろそろ終わりにして、目の前の現状と向き合ってみようか。
「うへへー、これはよい人材だねー。リーダーに褒められるかもー。あ、そういえばパーティ組んでるのか聞いてなかったねー。お兄さん、今パーティとか組んでるー?」
「イヤ、…サッキツイホウサレタバッカリデ。」
「えー、ちょー見る目なーい。」
「ソッスカネ?オレアンマリツヨクナイッスヨ。ダトウダトオモイマス。」
「そんなことないしー。お兄さんちょー凄い気配あるもん。」
誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
無理無理無理無理!口調が緩い超美人から永遠に話しかけられるんですけど!?しかも褒め殺しなんですけど!?周りの視線が超痛いんですけどぉぉぉ!!?こんなん耐えれる奴居ねぇだろぉ!!
俺が必死に表情を固定し、心の中で叫んでいる間も、彼女ことミリオネさんはずっと話しかけて来ていた。クランの新メンバーを探しているだのそれに俺を推薦したいだの…
やめて!仲間からも他のパーティに移籍することを認められてる今の俺ならホイホイついて行っちゃうかもしれないから!
そうやって気合いで耐えていると、先ほどと同じ様に扉が開いた。視線をそちらに向けると、昼間ミリオネさんと一緒に居た黒髪の女性が入って来ていた。
「あ、ファンっちー。やほー!」
「こら、ミリ。知らない人にいつものテンションで話しかけたら駄目って何度も言ってるでしょ!全く…それで、今回はその人?どんな才能を感じたの?」
「えーとねー。ばんのーな気配?戦闘は結構出来るしー、荷物の管理とかも上手な気がするー。」
「はぁ…今回の人はかなり多才なんですね…。あの、うちのミリオネが申し訳ありません。私は【暁月】のファンティアと申します。よろしければ、貴方のお名前をお伺いしても?」
「あ、えと…タクト、です。一応今はソロでやってます…前のパーティからは…その…」
「追放されちゃったんだってー。見る目無いよねー。」
突然現れた
「あの、前のパーティからは追放されたって言いましたけど、それ間違いで…いや、間違いでは無いんですけど、なんと言うか…希望の追放?ってやつです。」
「「希望の追放」」
「はい。俺達のパーティだと手に余るから、もっと高ランクのパーティに行ってもらおう…っていう会話を聞いてしまって。」
「それで貴方は追放されてきた…と。」
「なので、彼らは悪い奴らじゃ──」
「本当にそう言い切れるの?」
必死に弁明をしていると、ファンティアさんがバッサリと会話を切り捨ててしまった。そんなに被せて来なくて良いのに…。泣いちゃうよ?
それは置いておいて、「そう言い切れるの」とは?彼らが俺を騙していたんじゃないのかってこと?
「例えば貴方が稼いだ金銭を横取りしたいとか、パーティ内での男女関係とか…他の要素があったり──」
そんなの──
「あり得ませんね。」
俺はその言葉を、同様にバッサリと切り捨てた。正直な話、急に話し掛けておいて元のパーティを侮られるのは気分が良くない。
「どうして、そう思うのでしょう?」
「だって──」
なので俺は、ハッキリとその事実を伝えることにした。
「追放するときにわざわざ優しくする奴居ます!?さっきお金がーって言ってましたけど、俺リーダーからお金持ってけよって言われてるんですよ!?なんなら追放とか言ってるくせに見送りまでしてくれるやつらなんですよ!?」
「…………」
ファンティアさんは、絶句していた。急に俺が叫び出したのもあるだろう、元のパーティが意味不明なのも認めよう。俺だって分からないのだ、貴方に分かってたまるか。
ちなみにミリオネさんは爆笑してた。あの人呑気だなー。
「…うん。私が間違ってたかも…。これは…ごめんなさいで良いのでしょうか…?」
「う〜ん。まぁそれで良いでしょう。」
「ひー!2人とも面白ーい!」
涙目になりながら笑うミリオネさん。何がそんなにツボに入ったのだろうか。とりあえずミリオネさんは置いておくとして、ファンティアさんと和解出来た…っぽいから良かった。
「あはははは!ひー!ひー!あははは!また思い出して!あはははは!」
この人は何がツボに入っているのか本当に分からないが、美人が笑ってくれてるので全て許そう。それだけでメンタルを回復出来るコスパの良い男なんです。
「それで、結局俺に何か用ですか?」
「はー、笑った笑ったー。で、用だっけ?最初に言った通りスカウト…的なー?もし興味があるなら一度うちに来てよー。」
「はぁ…とりあえず生活出来るくらい稼がないといけないので、しばらくは難しいと思いますけど…。」
「そこは暇な時で良いからさー。こっちとしても優秀な人に入ってもらえるとちょー助かるしー。」
「まぁ、時間が出来たら行きますよ。今は宿屋住みなので、早く家を探さないといけないのですよ…。なのでクランは…」
そうだ、俺にクランに入っている余裕なんてない。確かにクランならそこそこの仕事もあるだろうし、まして【暁月】のパーティメンバーからの推薦となれば良い待遇も受けられるだろう。
クランとは複数のパーティの集まり的な感じだ。主に凄腕パーティの傘下って感じだけど、協力関係にある高ランクパーティの集まりみたいなクランもあったりする。ミリオネさん達のクランは前者だ。
しかし、クランも一長一短。大人数で協力できることはかなりの強みだが、報酬の分配などで揉める節がある。報酬で揉めることのないソロならかなり気が楽なのだ。
一応補足しておくが、前パーティでは揉めることはほとんど無かった。基本山分けで、珍しい物は成果を上げた人の物。それを皆が受け入れていたのである。
だからこそ、今はソロでの悠々自適ライフを楽しみたいのだ。だって今日追放されたばっかりだし!ちょっとは息抜きさせてくれ。
「…そう。ちなみにクラン所有のホームには居住スペースもあるんだけど…。」
「…………マジ?それって家賃とかは…」
「マジー。家賃は基本報酬から差し引きで、働きに応じて免除もあるって感じー。」
「……ちょっと考えさせてもらっても?」
「どうぞ。」「ごゆっくりー。」
それは話が変わってくるな〜。
確かにソロの方が自由で楽だよ!?でもそれはちゃんとした拠点が有ることが前提なんだよなぁ〜!
それが!拠点が出来て、パーティメンバーも見つかり易くなる上に家賃がタダになる可能性すらあるだと…。
そんなの…そんなの!!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「え、何ー?」
「急に叫び出しましたね…。故障?」
「故障じゃないです!とても魅力的なので悩んでるんです!ぐぬぬぬぬ…。」
行きたいか行きたくないかで言うなら…
行きたいに決まってる!!
でも俺の直感が、なんか嫌な予感を感じ取っている!クランに入れば間違いなく面倒事に巻き込まれる様な…。
それに、アベル達はどうする?確かにあいつらはもっと高ランクのパーティにって言ってくれた(盗み聞きしただけ)が、それでもあいつらを放っておくなんてことは…。
ここは…ここは!!
「一旦保留とさせて貰えないでしょうか…」
「えー、お兄さん優柔不断だねー。」
「まぁ良いでしょう。それぞれ事情がありますから、すぐに答えが出せなくても仕方ありません。」
「すいません。いつか答えを出すので。」
「ぶー…分かったー。それじゃあお兄さん、クランホームで待ってるから。それじゃあねー。」
俺の曖昧な返事を聞くと、2人は仕方がないと言わんばかりに肩をすくめてから立ち去った。
これは…悩むなぁ…。
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どうも、ゆーれいです!
リアルが忙しいのでちょっと投稿ペース遅くなってます!他作品の案が湧いてくるってこともあるんですけど…。
これを書いてて思ったことがあります。ギャグって…難しいですね。
僕のギャグのイメージはでん○ゃらすじー○んなので、あの意味不明さ(褒め言葉です!)を出したいんですけど…。どうやったら良いのか。あれも才能なんですよね〜。
こんなところであとがきも終わります!この作品が面白いと思った人は、作品のフォローと★での評価もお願いします!
それではまた
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